一度異論を唱えたら死んでも許さない…共産党の恐ろしい体質の根源的問題 元党幹部は「所詮はムラ社会なんです」
敵意むき出しの反論
「そして今年3月7日、松竹氏は共産党を相手取って東京地裁に提訴しました。訴えは2つあり、党員としての地位確認と、損害賠償の請求です。前者は除名の根拠となった党規約は憲法が保障する出版の自由を侵害していると主張。除名処分は違法であり、松竹氏は今も党員であると認めてほしいという内容でした。後者は党機関紙『しんぶん赤旗』の報道で松竹氏の名誉が傷つけられたとして、約550万円の賠償を求めるというものでした」(同・記者)
それでも共産党は強硬姿勢を崩さない。まさに聞く耳を持たないのだ。しんぶん赤旗の電子版は翌8日、「除名された元党員の提訴で日本共産党広報部がコメント」を配信し、改めて松竹氏を批判した。記事の前半部分だけを引用する。
《松竹伸幸氏の提訴はまったく不当なものである。松竹氏の除名処分は、党規約にもとづいて厳正かつ適正に行われたものであり、この処分が適切だったことは、党の最高機関である党大会で再審査請求が審査され却下されたことによって、最終的に決着済みの問題である》
「訴状を精査して対応を検討する」という定番のコメントもあるはずなのだが、共産党は使わなかった。赤旗の記事を映すPCの画面には、6行にわたって強い敵意に満ちた文章が並ぶ。なぜ、これほどの“ガチンコ・バトル”に発展してしまうのだろうか。ベテランの政治記者も「理解できません」と首をひねる。
民主集中制
「日本社会には『事を荒立てない』という風潮が根強く、それは政界でも変わりません。かつての仲間が離党して他党に入ったとしても、顔を合わせれば紳士的に対応します。党が別れても、実は交流が続いているケースも珍しくありません。ところが共産党は昔から、そうした“人情”がないのです。共産党から距離を置き、評論活動で注目を集めた“OB”に対しても、共産党は常に敵対的な姿勢でした」
読売新聞の代表取締役主筆・渡邉恒雄氏、読売新聞から日本テレビ社長に就任した氏家齊一郎氏、そしてセゾングループの堤清二氏は東大時代、共産党活動に従事し、なおかつ党から除名されたというエピソードで知られている。
除名から数十年が経過し、3氏が共産党の仲間と「あの時はあの時として、懐かしいなあ」と酒を共に呑む──こんな光景は絶対にあり得ない。なぜ共産党は一度でも党に異を唱えた者は絶対に許さないのか、元参議院議員で共産党のナンバー4にあたる政策委員長を務め、2005年に離党した筆坂秀世氏に聞いた。
「そうはいっても、党幹部と党員だと違いますね。他界した党員の遺族と関係者から、『生前、よく筆坂さんの話をしていました』と、離党した私が弔辞を依頼されたことがありました。イデオロギーより人情優先というわけです。しかし党の中堅幹部から上になると、人情よりイデオロギーでしょう。今の共産党幹部にも、松竹さんと親交のあった人はいるはずです。しかしながら共産党は『民主集中制』が原理原則ですから、党が松竹氏を除名した以上、全ての党員が無条件で従うしかありません。除名された松竹さんと交流するなど、絶対に許されないのです」
[2/3ページ]