23区の平均価格は“1億1483万円”…新築マンションブームで日本が滅ぶ理由

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 このところ新築マンションの価格が高騰している。不動産経済研究所が1月に発表したデータによれば、東京23区の平均価格は2023年に対前年比で39.4%も上がり、1億1483万円と、はじめて1億円を突破した。都心部が突出してはいるが、東京、神奈川、埼玉、千葉の首都圏1都3県の平均も28.8%上昇し、8101万円とかなりの額である。

 むろん、だれもが買える金額ではない。とりわけ都心部のマンションの場合、顧客として想定されているのは、経営者や大手企業の幹部社員ら富裕層だが、事実、こうした層の需要は高く、契約率は東京23区の場合、発売初月で平均71%に達しているという。

 もっとも、デベロッパー 各社が都心部にマンションを新築しているのは、顧客側の事情だけによるものではない。円安もあって建築コストなどが上昇しているため、高くても売れる都心部、あるいは利便性が高い都市部を選んで建てているのだ。

 結果として、新築マンションは各地で、多くの人にとって高嶺の花となっている。だが、果たしてそれは、マイホームを持ちにくいということにつながっているだろうか。

 現在、各地で問題が顕在化していることの一つに、空き家の増加がある。総務省統計局による住宅・土地統計調査(最新のデータは2018年10月時点)で、国内の住宅総数に占める空き家の割合は、過去最高の13.6%を記録しており、その後も増加傾向にあると指摘されている。

 山梨県の21.3%、和歌山県の20.3%など、動脈から逸れた県や山間部に空き家が多い傾向はあるが、首都圏でも東京都が10.6%、神奈川県が10.8%、埼玉県が10.2%、千葉県が12.6%と、けっして低い数字でない。それに、空き家の総数は1998年の576万戸から2018年の849万戸へと、20年間で1.5倍に増加している。

 では、なぜこれほど多くの空き家が生じているのか。2018年の時点では日本の世帯数は約5400万なのに対し、住宅総数は6241万戸にものぼる。要するに、日本には住宅が多すぎるのである。

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