ガーシー被告の執行猶予付き判決に「納得いかない」と話す被害者の思い 記者の名刺を晒して“信者”に「イタ電を指示した」狙いは?
動画投稿サイトで会社役員らを繰り返し脅迫した罪などに問われた前参院議員のガーシーこと東谷義和被告(52)に、東京地方裁判所は懲役3年執行猶予5年の判決を言い渡した。被害者の一人は「実刑にすべきだった」と被害を受けた当時の心境を振り返った。
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【写真】デイリー新潮記者に「ガーシー信者」から送りつけられた「誹謗中傷メール」
人生が破壊される恐怖を感じた
自営業のAさん(20代)は2022年の秋、東谷義和容疑者から約3週間にわたって実名と顔を晒され、いわれなき誹謗中傷を受けた。
「僕は芸能人でも有名企業の社長でもない、ただの一般人です。東谷に会ったこともなければ関わったこともない。にもかかわらず、ある日突然、彼は『同性愛者』『薬物中毒者』などと事実無根のデマを拡散し始めた」
執行猶予が付いたことに「納得いかない」と続ける。
「国会議員でありながら逃亡した罪の重さを考えれば厳しく実刑にしてほしかった。裁判では反省している態度を見せていたようですが、告訴していない僕のところには一切謝罪はありません。執行猶予が欲しくて反省した素振りを見せているだけに違いありません」
ターゲットになっている最中は、いつ終わるのか不安で仕方なかったと振り返る。生配信で「まだまだ追い込むぞ!」と不敵な笑みを浮かべる東谷被告を見ると発狂しそうになった。
「怒りに震えて眠れなかった。しばらく仕事にもいけなくなったし、人生が破壊される恐怖を感じた」
「ガンガン拡散してくれ、意味なく写真あげまくって」
恐怖を煽ったのは、東谷被告の暴露を囃し立てた「顔の見えない協力者」たちによる拡散行為である。彼らがネット空間にばら撒いたAさんへの誹謗中傷は今なおネット上にデジタルタトゥーとして残っている。
「いじめを楽しむ卑劣な人たちが大勢いた。彼を持ち上げ続けたメディアも同罪だと思う。被害者がどんな思いをしているのか考えもせず、ドバイの誕生会に潜入だとか称して東谷の身勝手な言い分を載せていた。僕の家族がどんな恐怖に陥れられたか、どれだけ泣いていたかを想像して欲しい」
「デイリー新潮」記者もターゲットにされた。22年10月、Aさんが受けた被害を記事にした2日後のこと。朝ふと目覚めると、不在着信が十数件入っていることに気づいた。
とうとう来たかと覚悟しながら東谷被告のSNSを確認すると、携帯番号の入った名刺と顔写真が晒されていた。それから2週間くらい徹底マークされ、Instagramなどで〈反社の手先〉などと身に覚えのない悪口を言われ続けた。
その間、東谷被告はインスタライブで“信者”たちにこう呼びかけていた。
「お前らもっと拡散してくれなー」
「ガンガン拡散してくれ、意味なく写真あげまくって」
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