打撃絶好調の鈴木誠也を開幕4番で起用も…カブス新指揮官は史上最高年俸の「クセ者」

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「SEIYAにとってモンスター・イヤーになる」

 米放送局・マーキーSNがカブスのオープン戦序盤のホワイトソックス戦を中継したときのこと。実況アナウンサーが、鈴木誠也(29)の第一打席後、こう絶叫した。

「今季はSEIYAにとって、モンスター・イヤーになる」

 飛躍のシーズンになると予言されたのだ。ちなみにその打席は四球を選んでいるが、「あと2メートル右にずれていればホームラン」の大ファールを放っている。

「滞空時間の長い大飛球でした。ファールゾーンのスタンドに打球が落ちたとき、ファンがため息をついていました」(米国人ライター)

 しかし、飛躍の予言の根拠はこの大ファールだけではなかった。昨季8月の鈴木の月間打率は3割2分1厘、9月は3割7分。「終盤の好調さがそのまま今期も持続されている」と判断されたからだった。

 今季のMLBの話題といえば大谷翔平(29)、山本由伸(25)のいるドジャースに集中しているようだが、鈴木と今永昇太(30)のいるカブスも、ナ・リーグ中部地区の注目チームになっている。

「3月9日(現地時間)、ロッキーズとのオープン戦でもヒットを放ち、オープン戦の打率は3割5分3厘、本塁打1打点2です。もう、いつ開幕しても大丈夫な感じです」(地元メディア関係者)

 昨年オフ、カブスは今永と4年総額5300万ドル(約79億5000万円)の大型契約を結んだが、野手陣の補強はほとんどしていない。主力内野手のニコ・ホーナー(26)が米誌「スポーツイラストレイテッド」で、

「オレたちは昨年よりも良いチームなんだろうか? これは全員が抱いている疑問だ。そして、その答えは、全員がシーズンでどうプレーするかに掛かっている」

 と“内部批判”とも捉えかねない発言をしている。その「ホーナー発言」が出た後、強打者、コディ・ベリンジャー(28)の慰留に成功したものの、打線の破壊力が懸念されていた。その関連で打撃好調の鈴木をクリーンアップに定着させるべきという声も出ているそうだ。

「今季から指揮を執るクレイグ・カウンセル監督(53)は、ゲームプランをまだ明かしていませんが、鈴木はオープン戦で主に2番で出場しています。ホーナーやリベンジャーはスロースターターな傾向もあるので、開幕から『4番鈴木』もあり得るでしょう」(前出・同)

「クセ者」の名将を招いたカブス

 カウンセル監督は9シーズンにわたってブルワーズを指揮し、地区優勝3回、プレーオフ進出5回、レギュラーシーズンの通算成績でも700勝を越す名将である。カブスが野手陣の大型補強を見送った理由にこの名将の存在も影響していたようだ。

「昨年10月、カブスの新監督候補としてカウンセル氏の名前が出ると、あっさり、カブスと面談したことを地元メディアに伝えていました。しかし同時に、メッツ、ガーディアンズなど、新監督を探していた他の球団名も挙げ、各方面と話をしているとも言っていました」(前出・同)

 カウンセル監督が指揮官生活を始めたブルワーズ、そして今回、話があったというガーディアンズは、ナ・リーグ中部地区のライバルチームでもある。最終的にカウンセル監督はカブスを選択した。その就任の一報と同時に注目されたのは、同監督の年俸。「総額4000万ドル(約60億円)」の5年契約で、この金額はMLB監督としては史上最高額である。

「NPBではチームに長年貢献した有名なOBや、他球団で成功した名将を監督に迎える際、億単位の年俸が提示されることはありますが、桁が違いますね」(スポーツ紙記者)

 前出の米国人ライターによれば、一般にメジャーリーグの監督には60万ドル以上(約9000万円)の年俸が提示されるという。日本とアメリカでは市場規模に大きな差があるため、一見、メジャーの監督は高年俸のように思われるが、必ずしもそうではない。昨年2月28日にAP通信が報じたMLB選手の平均年俸は、422万ドル(約5億7000万円)。メジャーリーグでは「監督が選手よりも高い年俸をもらっている」ケースは多くない。

 先のチーム批判のコメントを雑誌に寄せたホーナーの年俸は253万ドル(約3億2000万円)。カウンセル監督の5年4000万ドルを均等割りした1年当たりの年俸800万ドル(約12億円)にははるかにおよばない。ホーナーは昨季からレギュラー争いをするまでに成長した選手なので一概には比べられないが、カウンセル監督は「選手以上」の高給取りとも言える。

「カウンセル監督は打撃好調の鈴木のことを質問すると上機嫌になります。あと、今永が投げるときは『今日は楽しんで来い』と言ってマウンドに送り出していました。高額年俸の選手は、オープン戦は完全な調整機会であって、結果は問われません。今永もその一人です。カウンセル監督の言動を見る限り、鈴木と今永を投打のキーマンとして捉えているようです」(前出・米国人ライター)

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