藤浪晋太郎(29)リリーフ元年で「投手生命」の危機? “制球難”ではない忍び寄るカゲ…「ボラスの餌食」の指摘も
崩れた1年目の青写真
「あの年の藤浪は後半にリリーフとして起用されると、先発時代とは見違えたように腕が振れるようになって制球もまとまり出し、ようやく長い低迷を脱しそうな雰囲気がありました。そのままリリーフを継続すれば良かったのですが、翌年は再び先発へ。その後も先発に対するこだわりを捨て切れず、阪神では最後(の22年)まで完全復活できませんでした。ボラスが藤浪に先発に固執するよう、助言したと聞きます。メジャー移籍となれば、リリーフより先発の方がはるかに高額な契約を結べますから……」(阪神のチーム関係者)
同じくボラス氏が代理人を務める西武の平良海馬投手も、将来的なメジャー移籍の希望を持つ。チーム事情に反し、本人自ら直訴したことで昨季、救援から先発への転向が実現している点は藤浪を彷彿させる。
藤浪は昨季、アスレチックスとは年俸325万ドル(約4億8000万円)で契約を結んだ。
「この時、藤浪サイドは先発の椅子に、こだわったようです。年俸は阪神の最終年が4900万円だったことを考えると、アメリカに行ったことで跳ね上がりましたが、メジャーでは平均年俸(22年は422万ドル=6億2000万円)にも届いていません。まずは先発で投げられるチームを最優先したのです。恐らくはアスレチックスで実績を積んで、翌年以降に先発で巨額の契約を取りに行くつもりだったんでしょう。その青写真は崩れてしまいましたが……」
頑強な身体にも危機が
一転、今季はリリーフに活路を見いだした形だ。
「藤浪も4月(12日)の誕生日で30歳になります。メジャーでは30歳を過ぎると、契約内容が厳しくなってきます。メッツではロングリリーフで好投すれば、結果的に先発としての評価を高めることはあるでしょうが、ボラスは去年1年を見て、環境が変わっても藤浪の制球難の解消が一筋縄ではいかないことを痛感したのではないでしょうか。リリーフで少しでも好条件の契約を結ぶことにシフトし、藤浪自身も先発への思いは封印したようです」(前出の代理人)
メジャーはレギュラーシーズン162試合の長丁場だ。その後、休む間もなく1ヵ月のポストシーズンに突入する。休養日もあるとはいえ、ブルペン待機を含め、リリーフは過酷だ。短いイニングでは先発のように力を抜く場面はほぼ皆無で全球、全力に近い。阪神時代から定評があった肩、肘の故障への強さが揺らがないとは限らない。
「今まではどんなにコントロールが悪くても、身体が頑強であることが100マイル超えの直球とともに、メジャー球団に可能性を感じさせる要因になっていました。(先発、中継ぎで64試合に登板した)昨季もその強みは出していましたが……。もともと藤浪の特徴であるインステップ投法は、肘に負担がかかると言われています。リリーフで連投すれば、疲労から回復が追い付かず、肘が悲鳴を上げるかもしれません。リリーフに転向したことで、投手生命の危機に陥ることが心配されます」(元NPB球団監督)
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