マサイ戦士の第2夫人になった日本人女性の告白 伝統を守るマサイ族は今スマホで何を見ているのか
「何をすべきか」は昔から決まっている
――尊敬される長老になるために、ジャクソンさんはどんなことをやっていきたいですか。
ジャクソン「自分が『何をしたい』かではなく、『何をすべきか』が昔から決まっています。長老がやることを見続け、自分も長老になったらああいう人になるんだと想像しながらこれまで生きてきました。そこまで到達できたことが誇らしいですね。
世界の変化は自分たちで止めることができません。国が決めたことにも従わなければならない。『エウノト』のライオン狩りも廃止されましたが、だからといって大きな変化はありません。伝統文化において重要なのは、人生の節目となる儀式とそれにより世代を一つひとつ上がっていくことです。今の自分が尊敬される側なのか、する側なのかという位置関係を明確にすることに、我々は重きをおいています」
永松「スマホの普及も含め、世界情勢が大きく変わる中で、マサイも変化していかなければなりません。特にジャクソンの世代はいろんな変化を経験する長老になるでしょう。マサイが一堂に会して長老から指導を得る機会も少なくなってきました。
そんな中でも『エウノト』に集まり、長老から礼儀や家畜の管理法、人生設計などを学ぶと、マサイであることを自覚し、誇りを感じるという若者も多い。環境の変化が激しい今だからこそ、マサイの誇り高く伝統を守り続ける生き方を現代人に知ってほしいですね」