糞尿だらけの室内に閉じ込められ…千葉で発覚した猫の虐待死 背景にある「社会問題」とは
増加する空き家
こうした事情に加え、今回のように、猫が家屋に閉じ込められてしまうケースも少なくないのだという。
「この度発覚したような、飼い主が故意に閉じ込めていたというケースだけでなく、空き家に猫が住み着いた上で出られなくなり、衰弱死してしまうケースもあるんです。昨今、高齢者が亡くなったあとに“空き家化”する住宅が多く、そこに住み着く猫も増加しています」
佐々木氏自身、空き家から出られなくなった猫に遭遇したことがあるという。
「昨年、侵入経路と見られる穴が塞がれてしまい、猫が出られなくなっている空き家を見つけました。鳴き声が聞こえたので、所有者を確認して鍵を開けてくれるよう警察に相談したのですが、なかなか動いてもらえず……。最終的に大家さんに連絡がついて、鍵を開けることができたのですが、そのときにはもう猫は死んでしまっていました」
社会問題化しつつある「空き家問題」。全国ではこの30年間で2倍以上に増加したともいわれているから、上記のような悲劇は千葉県に限った話ではなく、全国どこでも起こりうる事態だといえよう。
「目の前に救える命があっても、人間の事情で保護ができない現状にもどかしさを感じます。たとえ動物だとしても命であることに変わりはありません。緊急時に限って空き家の鍵を開けられたり、保護のために入室できたりする柔軟性くらいは、もたせられないものでしょうか」