今期ガッカリな恋愛ドラマ2選 「二階堂ふみの無駄遣い」「棒演技連発で驚愕」

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 愛が難しいことになっている。大の大人が幼稚になっているとしか思えない、そんな恋愛ドラマをご紹介。

 ひとつは「Eye Love You」(TBS)。恋が人から知性を奪うのは確かなのだけれど、修羅場も地獄も精神的苦境もお手の物だった二階堂ふみが、TBSのドラマでヒロインになると、どうにもこうにも馬鹿に見えて、全力で歯ぎしりしてしまう。

 ふみが演じるのは、12年前の海難事故を機に、なぜかテレパスになった侑里(ゆり)。侑里を助けようとして海に飛び込んだ父(立川志らく)は重傷を負い、意識はあるものの寝たきり状態で現在も入院中。テレパスだから父娘で会話できるわけよ。

 本音が聞こえるから空気を読むのは得意だが、逆に恋愛はうまくいかず。大学時代の友人・花岡(中川大志)と会社を立ち上げ、仕事に打ち込んできた。デリバリーのバイトをしている留学生のテオ(チェ・ジョンヒョプ)と知り合う。好意を直球でぶつけてくるテオが気になり始める。ただし、テオは心の声が韓国語。本音が分からないまま、恋の予感。んでもって、都合よく侑里の会社にインターンとして入ってきたのがテオ。大学で絶滅危惧種の動物を研究しているため、環境への配慮を売りにしている侑里の会社とつながったわけだ。

 素直なテオに対して、侑里がとにかく幼稚。社長なのに、女子小学生のような振る舞い。いや女子小学生だってもっと大人や。照れたり逃げたりで大人の女がドタバタするわ、ミスするわで目も当てられない。それが恋というのも分からんでもないが、あまりに馬鹿に見えて悔しいのよ。ふみが。そんな大きな障壁はないのに勝手に自粛したり自制したりで意味が分からん。

 第6話で花岡(大志、身を引いたりお膳立てしたりの役が多くない?)の献身アシストでやっとくっついたわけだが、とにもかくにもまどろっこしくて。ただし、テレパスがアイヌの神話と関係ありそうな匂わせがあって、がぜん興味が湧いてきたので最後まで観よう。

 もうひとつはアラサーの男女7人が繰り広げる恋愛モノ「アイのない恋人たち」(テレ朝)だが、とにかく登場人物全員が面倒臭い。面倒臭い人はウェルカムなのだが、ほぼ全員瞬間湯沸かし器系。易怒(いど)性が高すぎてへきえきする。アラサーの皆さん、人に対してあんなにつっかかるかなぁ? 自分に自信がないなら、もっと平和で大人で、事なかれ主義ではないかしら。すぐにぶんむくれて帰っちゃったり、説教垂れたり、絶交したり。幼稚すぎるアラサーに驚きの連続。

 人物をざっくり紹介するならば、ヤリチン・コミュ障童貞・潔癖処女・暑苦しいおしゃべり男・自分語りマシンガントーク女・自己犠牲女にサークルクラッシャー女、という感じかな。

 同級生設定の福士蒼汰と佐々木希が抑揚レスの一本調子で口論する場面は破壊力抜群。まるで読経のよう。もしここに東出昌大を召喚したら、俳優界三大棒がそろうなと妄想までしちゃった。

 遊川和彦脚本は基本的に好物だが、今回はなかなかにキツイ。男女7人酷物語についていけそうにない。

吉田 潮(よしだ・うしお)
テレビ評論家、ライター、イラストレーター。1972年生まれの千葉県人。編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスに。2010年より「週刊新潮」にて「TV ふうーん録」の連載を開始(※連載中)。主要なテレビドラマはほぼすべて視聴している。

週刊新潮 2024年3月14日号掲載

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