ガムテープで受話器と手をグルグル巻きに…ビッグモーター元幹部の「中卒トップセールスマン」が実践した「絶対にあきらめない営業」

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繰り返し目標を唱えてやる気にさせる

 この時は「新人チーム」と「うまくいったな(笑)」とハイタッチした。そうやって営業活動に集中できる環境を確保した。「俺たちは坂出店かりそめ買取事業部だな」と新人と僕の即席で作ったチームを成功させるぞと、本部に許可も得ずに勝手に人事異動して結束していた。

 そこからはアプローチ対象のセグメントや、トーク内容のアドバイス、時には電話を代わって一緒に呼び込んだ。新人チームに全力で付き添ってアプローチ活動に集中して、お客様が来られたら一緒に商談して、売った。そうやって「新人チーム」に集中しているとベテランチームが僕の目を盗んで、難易度の高いお客様を放置してまた逃げる。

 もう見張るしかないと思った僕は、15分毎にアラームをセットし外に出て、商談の開始を見逃さないようにした。そして商談が始まったら全てのお客様に「ご来店ありがとうございます!」と100万ドルの笑顔で挨拶をしに行った。

 そうする事でベテランには「見ているぞ」という警告をし、お客様にも「感じのいい店」という印象を与えて、成約率を1%でも上げようとした。まるでイタチごっこだったが、少しずつマシになっていった。それでもやる事を絞っていたからやり切れた。

・「ベテランチームに商談させる」
・「新人に商談を作らせる」

 これをやりさえすれば、70台販売できる。みんなで決めただろう。やろう。絶対やれる。毎日毎日、耳が痛くなるぐらい言い続け、毎日カウントダウンした。

「3台目が決まったな! あと20日、いける!! 良いペースだ! 今週で5台まで持っていこう!」

 これを毎日、朝昼晩、本気で一緒にやった。今思えば完全にブラックな環境だが、当時はこれでメンバーも初めて期待されて、苦しいながらも何とか目標に食らいついてくれた。

※「クラクションを鳴らせ! 変わらない中古車業界への提言」(幻冬舎)より抜粋

デイリー新潮編集部

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