ガムテープで受話器と手をグルグル巻きに…ビッグモーター元幹部の「中卒トップセールスマン」が実践した「絶対にあきらめない営業」

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よく調べると問題はベテランにあった

 そして「ボトルネック(問題となる要因)」が明確になってきた。

・新人が外で雑用をしているから、一番にお客様と接触する
・ベテランが難易度の高い商談を途中で諦めて、それを新人が拾っていた

 この店のボトルネックは新人チームだと思っていた。もちろん新人チームは売れていない。だけどその原因を作り出していたのはベテランチームだった。

 まず1つ目の問題だ。

・新人が外で雑用をしているから、一番にお客様と接触する

 新人が先に商談するのは、ベテランが店の雑用を全て新人に押し付けて店舗の外に出ないからだ。自分たちはベテランでクルマを売るから忙しいと、全ての雑用を押し付けていた。それをまずは止めさせる必要があった。

 僕も入社1年半の新人だ。つい最近まで先輩の雑用を押し付けられて、パシリをさせ られて悔しかったから、彼らの気持ちは痛いほどに理解できた。そこで、店の雑用は全員でやるというルールに変更した。ベテランが外で来店待機をして一番手に商談するように仕組化した。それに、僕は20台以上売った事があるが、雑用を人に押し付けた事なんかなかった。

 だからベテランには雑用を人に頼みたければ、最低でも20台以上売ってからにしてくれと全員の前で伝えた。そして、2つ目の問題。

・ベテランが難易度の高い商談を途中で諦めて、それを新人が拾っていた

 この問題は根深かった。どこの店舗でもありがちな問題かもしれない。大手販売店の営業経験があれば頷いている人もいるだろう。つまり、元を正せばベテランの成約率は40%もなかったのだ。これは「新人チーム」からのヒアリングによって発覚した。

 先輩が捨てた商談を「新人チーム」が敗戦処理させられていた。ベテランが新人より力があるのは当たり前だが、実態は集計ほどの実力差はないかもしれないと思った。「新人チーム」は目に涙を溜めながら話してくれた。僕たちに雑用と難しい商談も押し付けて成約率を誤魔化している。僕たちだけが「成績不振者」のレッテルを貼られて悔しいと。

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