ガムテープで受話器と手をグルグル巻きに…ビッグモーター元幹部の「中卒トップセールスマン」が実践した「絶対にあきらめない営業」

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 営業経験なしでビッグモーターの門を叩いた中野優作氏(42)は、どのようにして熾烈な競争を勝ち抜き、幹部まで登り詰めたのだろうか。中野氏が実践した、スポ根ドラマさながらの“絶対にあきらめない営業”を紹介する。【「自分の胸に手を当てて考えろ」ビッグモーターを告発し、記者会見で兼重宏行氏から批判された元幹部の「反論と贖罪」】からの続き

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〈入社1年で全国1位の営業成績を挙げた中野氏は、半年後、「坂出店」(香川県)の店長に抜擢される。だが、下についた部下は「タメ口で接してくるやる気のないベテラン4人」と「新人3人」。絶体絶命のピンチに陥ったにもかかわらず、華々しいデビュー戦を飾りたいと意気込んだ中野氏は、初日に彼らの前で「先月の2倍売る」と宣言する〉

※以下は中野氏の著書「クラクションを鳴らせ! 変わらない中古車業界への提言」(幻冬舎)からの抜粋です。

すぐにあきらめてしまうベテラン

 さあやるぞとスタートした平日の1件目の商談。成約率の高いベテランチームに商談してもらう計画でスタートしたが、何故か店で一番売れない新人がお客様と商談をしていた。僕はやばい! と思いインカムで商談を聞くと今にも帰られそうな流れだ。

 そこで僕が商談にカットインして何とか盛り返し契約できた。危ないところだった。何はともあれ、外さなくて良かった。そして、その日2件目の来客があった。当時、坂出店の平日で商談が2件も発生するのは珍しい。やはり僕は持っているなと思った。今度はベテラン社員がタッチしている。よしよしと思ったらしばらく展示場で話をした後に、お客様を放置してしまった。

 僕が慌てて確認すると、

「あのお客様は絶対に買わない。誰がアタックしても無理だ。これまで5年間整備だけを利用している」

 と言われた。ふざけるなと思った。

「お前の狂った物差しで判断するな。まだクルマを見ているじゃないか!」

 と僕は怒鳴って、彼が見切った商談の続きをやる事にした。

 当時の事はよく覚えている。後に何度も語られた商談だ。僕はお客様を勝手に判断するなんてありえないと思った。わざわざクルマを見に来店してくれている。これまで買っていないのにまた来るという事は、何かを期待してくれているに違いないと思った。

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