「自分の胸に手を当てて考えろ」ビッグモーターを告発し、記者会見で兼重宏行氏から批判された元幹部の「反論と贖罪」

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 世間から猛批判を浴びたビッグモーターの記者会見。元幹部の中野優作氏(42)がネット中継を見ていると、画面に映る兼重宏行前社長が突然、啖呵を切ってきた。「元社員のユーチューバーがなんか流していますが、自分の胸に手を当ててよく考えろとメッセージを送りたい」。公開の場でかつてオヤジと慕った恩人から批判された中野氏がその時、思ったこととはーー。前編【ビッグモーターを告発した元幹部の“YouTuber社長”が兼重宏行氏へ送る挽歌「中卒の僕に年収1800万円の夢を与えてくれた恩は忘れません」】からの続き

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のっけから裏切られた記者会見

 遅きに失した会見は、2023年7月25日午前11時から始まった。

 兼重氏は最後に自身の責任をどう語るのか。どういった打開策を示すのか。中野氏は固唾を飲んで見守った。

「こんな会社潰れてしまえと思っていた時期もあります。ただ、苦楽をともにした仲間たちの生活はちゃんと守ってほしいと思っていた。兼重さんならきちんとケジメをつけてくれると期待していた」

 だが、その期待はのっけから裏切られた。首根っこをつかんで連れてくると思っていた息子の宏一副社長は現れもしなかった。兼重氏は自身の責任を認め退任すると発表したが、「知らなかった」「組織的にやったことはない」を繰り返し、しまいに社員に責任を転嫁するようなことまで言い出し、会見は紛糾した。

なぜ兼重氏は息子を甘やかしたのか

「終わったなと思った。あまり知られていませんが、兼重さんには3人の子がいて、宏一氏は末っ子です。一番上の息子さんもビッグ社に勤めていましたがヒラの営業からスタートで、成績が上がらないので昇格する事もなく部署を転々としていました」

 身内にも厳格だった兼重氏は、なぜ宏一氏だけ甘やかしたのか。

「大学を出ていない兼重さんは、宏一氏がアメリカで取得してきたMBAという肩書きに魅かれたのかもしれない。それとも特別な思いを持っていた息子だったからなのか、本当のところは今でもわかりません」

 会見は2時間の長丁場になったが、ラスト20分で思いも寄らなかったサプライズが起きた。

 ある記者が「企業風土が嫌でお辞めになった方についてメッセージはあるか」と問いかけた時である。兼重氏はこう言い放った。

「元社員のユーチューバーあたりで、こう、なんか流していますが、逆にいえば、それが問題じゃないのと。まあ、自分の胸に手を当ててよくよく考えてとメッセージを送りたいですね」

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