大震災から13年 都内タワマンに家賃を払わず住み続け、福島から訴えられている自主避難民 県の担当者に現状を聞いた

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控訴棄却も…

「一審で敗訴した2世帯は控訴しましたが、今年1月16日に仙台高裁が棄却の決定を下しました」

 避難者側の代理人は国際人刑法に反するなどと主張したというが、高裁は避難者に退去や損害賠償を命じた一審の福島地裁を支持した。新聞はこう報じている。

《高裁は控訴審判判決で、「無償使用の継続を許さない限り、生存権が保障されないかのような避難者側の主張は採用できない」と認定。「県は住宅の供与に代わる支援措置を設けている」とも指摘し、一審の判断を支持した。》(朝日新聞:24年1月16日)
 
 ようやく一件落着ということか。

「いえ、この2世帯は1月下旬に上告したので、最高裁に持ち込まれることに……」

 未だ解決には至っていなかったのだ。最高裁でも棄却ということになれば、東雲住宅の所有者である国が強制執行に乗り出すことも考えられる。実は、昨年末には福島地裁で別の避難者に判決が下されたことが報じられている。

《東京電力福島第1原発事故の自主避難者を対象とする国家公務員宿舎「東雲(しののめ)住宅」(東京都)に貸し付け契約終了後も住み続けているとして、県が入居者に退去などを求めた訴訟の判決が27日、福島地裁であった。岩竹遼裁判官は入居者に住宅の明け渡しを命じた。損害金約236万円と、今年10月から建物の明け渡しまで月約3万9千円の支払いも命令した。》(福島民報:23年12月28日)

しわ寄せは福島県民に

「この方は支援者もいないそうで、裁判にも出席せず、答弁書の提出もなかったことで、裁判所も争う意思がないと判断したそうです」

 一体、何のための裁判だったのだろう。

「わかりませんが、今もまだ退去されていません」

 東雲住宅には他にも避難者が残っているとのことだったが、彼らはどうしたのだろう。

「話し合いや説得に応じていただき、退去は進んでいます。現在、東雲住宅には12世帯が残っています。他に埼玉県の公務員宿舎の2世帯が未退去ですので、併せて14世帯になります。うち1世帯は家賃を支払っていますが……」

 すでに退去時期は過ぎている。彼らとも裁判に?

「訴訟の対象は単独の方や複数の住民など様々ですが、すべての住民が訴訟対象になっています」

 先は長そうだ。

「自主避難された方々は、生活などの不安があって避難されたのだと思いますが、行政から避難指示があったわけではありません。一日でも早く生活再建を果たしていただきたいと思っています。未退去が長引けば長引くほど、損害金は増えていきます。彼らが支払っていない家賃を肩代わりしているのは福島県民なのです」

デイリー新潮編集部

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