インボイス導入で煩雑化した実務に有名産婦人科医から怒りの声!「政治家の資金管理は杜撰なのに……」「会計事務所への支払いも増えた」

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 その是非をめぐって大議論が巻き起こったインボイス制度が昨年10月に施行され、はじめての春を迎えようとしている。いまだに「裏金問題」の収拾もつかない中で紛糾したのは、制度自体に対する賛否とは別に、ただただ「手続きが煩雑すぎる!」という、納税者からの怒りの声だった。

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会計事務所への支払いも増えた

「政治家にはあれだけルーズな資金管理が許されているのに、事業者側ばかりが大きな負担を強いられるようになっているんです」

 開口一番、そう怒りをあらわにするのは、テレビ番組のコメンテーターとしてもお馴染み、産婦人科医の宋美玄氏だ。「丸の内の森レディースクリニック」を経営する立場で、まさにインボイス制度による影響を色濃く受けている一人である。

「何より、受け取る請求書や領収書の管理にものすごく手間がかかるようになりました。インボイス登録番号が載っているかどうかで仕分けたり、載っているものでもきちんと印字されていない場合はわざわざ確認を入れたり、Amazonで何かを購入した際は、出品者ごとにインボイス登録があるかを確認する必要があったり……」

 当事者でなければなかなかイメージが湧かないところがあるかもしれないが、極々簡単に言うと、消費税の正確な納税のために導入されたインボイス制度によって、各事業者は請求書や領収書を細かく整理しなければならなくなったということだ。いわゆる「インボイス登録」をしている事業者と、していない事業者で発行される領収書等が異なるので、それによって経費処理の仕方は異なってくるし、また登録番号なども一件一件チェックしないといけなくなった、というわけだ。

「業務上で発生する請求書や領収書は膨大です。一つひとつは細かい作業だとしても、それを日ごろから意識して整理しなければならないというだけで、精神的にも本当に負担になっています。余計な作業が増えたために、会計事務所さんに支払わなければいけない額も1割ほど増しましたし、私自身の手間はそれ以上に増えている感覚です」

他にやり方はなかったのか

 当然ながら、これは医療法人だからこその弊害というわけではない。都内で事業を行う経営者もこう言う。

「インボイス非登録の事業者さんから何かを購入するとなると、こちらが消費税控除を受けられなくなり、苦しいところがあります。ですから、その金銭的負担を甘んじて受け入れるか、インボイス登録がある事業者さんを探す手間が増えるか、という状況にもなってしまっています。登録のある事業者さんでも、請求書が規定通りにつくられていないこともありますから、そのような場合でも確認は必要となる。こうしたことも含めて、やはり日々の請求書や領収書の管理にかかる手間は増えたと感じます。厳密な処理が求められること自体は仕方ない部分もあるとは思うのですが、もっと他にやり方はなかったのかと考えてしまいます」

 あるいは、さる企業の経理担当者からはこんな声も。

「インボイス登録の有無によって経理作業が変わってくるのはもちろん、端数処理のルールが厳密になったことで、社内のシステムにも影響が出ましたし、取引先と支払額にズレが生じることもありました。さらに今年から、電子上でやりとりした請求書を電子データとして保存することなどをルール付けた『電子帳簿等保存制度』も“完全義務化”となりましたから、経理担当としては、二重に手間が増えている状況です。『面倒臭い』以外の言葉がないのが本音ですね……」

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