センバツに登場する“ドラフト有望株” 報徳学園のエースが最注目!両親がロシア出身の強打者にも熱視線
「選抜では150キロくらい出るかも」
第96回選抜高校野球は3月18日に開幕する。今大会は、大阪桐蔭や星稜といった強豪校をはじめ、32校(21世紀枠2校)が出場し、「紫紺の優勝旗」を目指した熱戦を繰り広げる。ドラフト候補という観点から見れば、例年に比べて、投手、野手ともにプロ入りが期待できる“有望株”が揃っている。スカウト陣が熱い視線を送るドラフト候補を取り上げてみたい(※学年は全員新3年)。【西尾典文/野球ライター】
投手の筆頭候補は、報徳学園のエース、今朝丸裕喜だ。昨年の選抜は、背番号10で出場し、4試合に登板、チームの準優勝に貢献した。当時は、まだ体が細く、ストレートは130キロ台中盤が多かったが、1年間で見事なスケールアップを果たした。
3月2日に行われた神戸弘陵との練習試合では、先発して3回を投げて被安打2、5奪三振で無失点と圧巻のピッチングを披露。ストレートの最速は147キロをマーク。この試合には、10球団、13人のスカウトが集結していた。今朝丸を視察したスカウトのひとりは、以下のように評価している。
「ここまでは順調すぎるくらい順調ですね。この時期にしては良すぎるくらいです。体が大きくなりましたし、ストレートは、秋と比べても明らかにスピードがアップしています。選抜では150キロくらい出るかも。今後、体が大きくなりそうですし、プロに入ってからも伸びるタイプだと思います」(セ・リーグ球団のスカウト)
体重は冬の間に8㎏増えて、現在は80kg。187㎝という上背を考えると、まだ細身の部類に入る。体は成長途上であるうえ、3月初旬という肌寒い時期に、これだけのスピードボールを投げられるとは、多くのポテンシャルを秘めた素材だ。今大会での投球次第では、高校生投手の目玉候補に浮上する可能性も高いだろう。
両親がスリランカ出身の強打者も
一方、左腕で注目されるのは、洗平比呂(八戸学院光星)。父の竜也氏は、2001年から3年間、中日でプレーしたサウスポー。兄の歩人も投手で、現在は国学院大でプレーしている。
洗平は2年連続で夏の甲子園のマウンドを踏んでいる。昨年夏は、初戦で明桜を相手に7対0で完封勝利を飾っている。身長は177cm。投手としては大柄ではないものの、長いリーチを生かした柔らかい腕の振りで球持ちが長い。このため、140キロ台中盤のストレートには、数字以上の勢いがある。最近の投手では珍しい“大きなカーブ”を操り、制球力も高い。
野手の注目株は、豊川のモイセエフ・ニキータ(外野手)だ。両親はロシア出身で、本人は愛知県で生まれ育った。昨年秋の公式戦では17試合で打率.571、6本塁打、32打点と圧倒的な成績を残し、明治神宮大会でもホームランを放っている。
「フルスイングするので、バッティングが粗っぽく見えますが、コンタクトする力も高いと思います。変化球もしっかり見極めますし、合わせにいくのではなく、強く振ってミートすることができています。決してパワーだけの選手ではないですね。この春から(反発力の低い)新基準のバットになりますが、木製バットでも対応できる選手だと思います」(前出のセ・リーグ球団スカウト)
高校に入学した頃と比べると体重も10キロ以上増えているそうで、上半身と下半身ともに、よく鍛えられている。また、センターの守備は球際に強く、肩の強さを備えている。
モイセエフと並び、強打者タイプで注目されるのが、大阪桐蔭のラマル・ギービン・ラタナヤケ(三塁手)だ。両親はスリランカ出身で、自身は愛知県で生まれ育った。昨年秋の公式戦は、12試合で5本の本塁打を含む長打12本と、主砲の働きを見せてくれた。
昨年11月の明治神宮大会は、ライナーでライトスタンドに突き刺さるホームランを含む長打3本と、持ち前のパワーを大きくアピールした。サードの守備は捕球、送球とも不安定で課題は多いものの、貴重な右の大砲候補として楽しみだ。
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