増える“女性主演”のアクション映画 「特殊部隊100人に女性1人で応戦」配信で見られる4選

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センス抜群の韓国映画

 韓国は若手女優も次々とアクション作品に参加している。その最右翼とも言える存在が映画「バーニング 劇場版」(2018)、Netflixオリジナルドラマ「ペーパー・ハウス・コリア」で国際的に脚光を浴びたチョン・ジョンソ。

 最新作『バレリーナ』(Netflixで配信中)は、親友を自死に追い込んだ男たちへの復讐劇だ。

「必ず復讐して」という遺書を書いて自ら命を絶った親友ミニ。要人警護のSPだったオクジュは、親友の死の真相を追って性的人身売買のシステムにたどり着く。無数の少女たちが奴隷にされていることを知ったオクジュは、連中を皆殺しにしようと決意する。

 女性を食い物にする男たちを血祭りにあげてゆくオクジュを追う、バイオレンスとアクションが疾走する90分。オクジュがコンビニ強盗を制圧する、物語とは全く関係がない冒頭のシークエンスから、巨大火炎放射器で敵を焼き尽くすラストまで、映像といい音楽といい美術といいテンポといい外しの美学といい、センス抜群。20代のヒロインでこれほどまでに不敵な存在感、躊躇いのない冷酷さ、飛び散る血が似合う面構えをもった女優がいる韓国映画界の今後に期待しかない。

女性たちの連帯が彩るラスト

 Amazonプライムビデオで配信中の映画「ガンパウダー・ミルクシェイク」も紹介したい。

 暗殺組織「ファーム」に所属する凄腕の殺し屋サムは、ターゲットの娘エミリーを匿ったために組織に追われるハメに。次々送り込まれる殺し屋たちをかいくぐり隠れ家にたどり着くと、そこには15年前に彼女を捨てて消えた母親スカーレットの姿が。彼女は所属していた「ファーム」に陥れられた殺し屋だった。

 映画「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」(2014)で知られる身長180cmのヒロイン、カレン・ギランの迫力の肉弾アクションはもちろんだが、何より楽しいのは、母娘が頼った「図書館(という名の武器庫)」を仕切る熟女殺し屋たちだ。

 映画「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」(2022)でオスカー女優となったアジアのアクション女優ミシェル・ヨー、「スパイ・キッズ」(2001)のカーラ・グギノ、テレビドラマ「9-1-1:LA救命最前線」のアンジェラ・バセット、さらにテレビドラマ「ターミネーター:サラ・コナー クロニクルズ」のレナ・ヘディをスカーレット役に加えた4人組が大活躍する。

 二丁拳銃、機関銃、手斧、ハンマー、チェーンに、殴られ蹴られ鼻血を流しながら、笑いも勝利ももぎ取る彼女たちのかっこよさ。女性たちの連帯によって訪れる拍手喝采とピースなラストも、国際女性デーにぴったりといえそうだ。

 アクションの分野はもはや男だけのものではない。日本でもこんな作品が作られることを願いつつ、今年の国際女性デーはそんなアクション映画を楽しんでほしい。

渥美志保(あつみ・しほ)
TVドラマ脚本家を経てライターへ。女性誌、男性誌、週刊誌、カルチャー誌など一般誌、企業広報誌などで、映画を中心にカルチャー全般のインタビュー、ライティングを手がける。Yahoo!オーサー、mi-mollet、ELLEデジタル、Gingerなど連載多数。釜山映画祭を20年にわたり現地取材するなど韓国映画、韓国ドラマなどについての寄稿、インタビュー取材なども多数。著書『大人もハマる韓国ドラマ 推しの50本』(大月書店)が発売中。

デイリー新潮編集部

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