増える“女性主演”のアクション映画 「特殊部隊100人に女性1人で応戦」配信で見られる4選
2017年に始まった#MeToo運動以来、それまでなら男性が主演で作られてきたタイプの作品が、女性主演で作られることが多くなった。ここ数年で激増しているのが、女性がメインのアクション映画である。今回は3月8日の国際女性デーを記念して、そんな「女子アクション映画」をご紹介したい。「女だから」とか「アクション映画は男のもの」なんて言わせない、スリリングでバイオレントな、ガチなアクションが満載である。【ライター・渥美志保】
【写真】日本刀を持ったヤクザと戦う、ホテルの客室係の姿の「キル・ボクスン」
「一国の軍より殺しの仕方を知る女」
真っ先におすすめしたいのは、2020年にNetflixで配信が開始された映画「オールド・ガード」だ。映画「マッド・マックス 怒りのデスロード」(2015)、「アトミック・ブロンド」(2017)など、ハリウッドの女子アクションを牽引してきたシャーリーズ・セロンが自身のプロダクションで製作した。
神話の時代から生き続けるアンディ(=シャーリーズ)が率いる「オールド・ガード」は、何世紀にもわたり歴史の裏側で暗躍してきた、不老不死の謎の傭兵部隊。ある日、新たな任務を請け負った彼女たちは、その依頼主の狙いが「不老不死の身体」であることを知る。
見せ場はとにかくシャーリーズのアクションである。片手に銃、片手に剣を携え、たったひとりで完全武装の特殊部隊を100人斬りする中盤、ナイフや殴り合いなどの接近した肉弾戦、中世あたりから使い込んだ巨大な斧をぶん回す後半など、「一国の軍より殺しの仕方を知る女」というキャラクター設定を裏切らない気合の入ったアクションに惚れ惚れする。
マーベル・ユニバースやジャスティス・リーグなど、ヒーロー集団の中のひとりを演じることに甘んじず、自分をリーダーにしたフランチャイズとして「オールド・ガード」を作り上げるシャーリーズのスタンスにも痺れる。Netflixは、同作のパート2の製作を決定しており、配信が楽しみだ。
さすが韓国!のケレン味たっぷり
ハリウッドに負けじと女子アクションを次々制作しているのが韓国だ。
昨年Netflixで配信が開始されると、初登場世界1位となり話題を呼んだ映画「キル・ボクスン」は、シャーリーズと同世代の大女優チョン・ドヨンが主演したアクション娯楽作。
殺し屋キル・ボクスンは大手暗殺請負組織に所属する凄腕なのだが、思春期の娘ジェヨンに手を焼くシングルマザーでもある。そのジェヨンが学校で「相手を殺しかねない」事件をおこしたことをきっかけに、ボクスンは殺し屋の引退を決意。だが「最後の仕事」をしくじったことから、事態は悪化してゆく。
ホテルの客室係の制服を身にまとったボクスンが、バスローブ姿に日本刀のヤクザと手斧を片手に戦う冒頭、食堂で殺し屋6人に襲撃された時には、お盆から箸から小麦粉から手当たり次第に投げつけて応戦する中盤、自分の師匠とナイフ片手に1vs1でやりあうクライマックス……とそのバトルはさすが韓国! のケレン味たっぷり。
ソル・ギョング、ファン・ジョンミンという韓国の名優たちとのバトルも必見。オスカー女優のシャーリーズといい、カンヌ女優のチョン・ドヨンといい、アラフィフの演技派女優たちがこうした役に果敢に挑むことに、その国のクリエイションの強靭さを思わずにはいられない。
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