大谷は7割台を記録 なぜオープン戦とシーズンの打撃成績は違うのか プロ野球OBが語る体験と解説

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 打率7割1分4厘──この数字に驚いた方は多かっただろう。日刊スポーツは3月5日の1面に「714」の数字を大きく印刷。さらに「大谷が止まらない」の見出しを掲げ、ドジャースの大谷翔平がオープン戦で7打数5安打、打率7割1分4厘だと報じた。

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 たった7打席の打率に意味がないことくらい、野球ファンなら誰でも承知しているだろう。とはいえ、オープン戦の打撃成績を見ながら開幕時の調子を予想し、一喜一憂するファンは少なくないはずだ。担当記者が言う。

「オープン戦の打撃成績については、どちらかと言えば“心配性”のファンが多いのではないでしょうか。5割を超えるような、レギュラーシーズンではあり得ない打率が記録されたりすると、SNSでは『本番のために取っておいてほしい』、『開幕で一転して不調にならないか心配』といった不安が、相次いで投稿されます」

 それこそ大谷は「オープン戦は好調だったが、開幕後は不調」と報じられたことがある。2022年4月14日、日刊スポーツは「大谷 開幕6戦25打席ノーアーチ/MLB」の記事を掲載した。

 この時、大谷の所属はエンゼルス。オープン戦は順調だったが、開幕すると25打席ノーアーチ、打率1割6分と低迷していた。

「4月12日に行われたマーリンズとの交流戦もノーアーチで終わり、取材に応じた大谷選手は『これ以上ない出来です。絶好調ですね』と冗談を披露、報道陣の笑いを誘いました。実際、すぐに調子を取り戻し、二刀流で大活躍。特に話題を集めたのが6月10日のレッドソックス戦でした。『投手兼2番DH』で出場し、投げては7回1失点、打っては5回に逆転の12号2ランを放ちました。結局、シーズンが終わると投手としては15勝9敗、打者としては打率2割7分3厘、ホームラン34本を記録するという充実したシーズンだったのです」(同・記者)

栗原陵矢の不運

 それでは日本のプロ野球に目を転じてみよう。オープン戦で大当たりした打者は、シーズンでどんな成績を残したのだろうか。

 2023年のオープン戦で規定打数に達した打者のうち、12球団で最高の打率を残したのはソフトバンクの栗原陵矢。4割1分5厘という傑出した数字だったが、シーズンは不本意な結果で終わってしまった。

「そもそも栗原選手は前年の22年、序盤から好調だったにもかかわらず、3月30日のロッテ戦で上林誠知選手と交錯するというアクシデントに見舞われました。左膝前十字靭帯断裂など重傷を負い、シーズン中の復帰は叶わなかったのです。ですから翌23年のオープン戦は並々ならぬ思いで挑んだのでしょう。それが4割を超える打率につながったのだと思います。開幕すると本塁打を量産するなど、最高のスタートダッシュを切りました」(同・記者)

 ところが中盤で栗原の勢いは失速してしまう。さらに再び不運に襲われ、8月には右手を骨折してしまう。結局、前年と同じようにシーズン中の復帰は叶わなかった。

 では、次は逆の「オープン戦は決して好成績ではなかったのに、素晴らしいシーズンで終わった」例を見てみよう。

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