岡田阪神「アレンパ」のカギは外野手と捕手 OP戦6連敗から見えてきた最新チーム事情
オープン戦5連敗をどう見るか
“アレンパ”を狙う阪神タイガースのオープン戦は2月23日に始まったが、今季、甲子園初戦となる6日の楽天戦を落とし6連敗に。この時期の勝敗は関係ないとは言うものの、6連敗は2018年以来、6年ぶりの屈辱だ。ちなみに同年のペナントレースは「広島優勝、阪神最下位」というイヤなデータが残っているものの、
【写真】今年も期待のトラ戦士たち(阪神タイガースの公式Instagramより)
「昨季のオープン戦だって、8勝9敗で12球団中8位だったんですよ。徐々にペースを上げていくつもりでしょう。今は投打ともに、若手や中堅をテストしている段階です」(在阪記者)
と、前向きに捉える声が多く聞かれた。実際、3月3日に行われた日ハムとの試合後、岡田彰布監督(66)が語った最初の言葉も、3番手で3イニングを投げた及川雅貴(22)の投球内容だった。
「セットのアレな、やり直さなあかん」
言い回しが独特なので、記者団も誰の話をしているのかが最初は分からなかったが、談話が先に進むに当たって、内容がようやく見えてきたという。及川は3者凡退に抑えた6回と8回は好投したが、走者を出してしまった7回は制球力も良くなかった。セットポジションで投げるときに球速も落ちるので、そこを克服してほしいと言ったのだ。
岡田監督が「チームの敗戦」よりも「チャンスを与えた及川のこと」を先に語ったところからも、連敗を気にしていないのは間違いないようだが、この日はこんな言葉も。
「ノイジー(29)はあかんよ。試合出場は無理やて。いや、誰か来るよ。だって、2人いてないってなるんやから。内野外野で1人、2人ずつ呼ばんと人数が15人なるしな。ノイジーは試合無理やろな。シートノックとか入りたい言うとるけどな」
札幌での2連戦後、中野拓夢(27)と森下翔太(23)が侍ジャパンに合流するため、いったんチームを離れる。岡田監督の言う「2人いてない」はこのことを指しており、中野に代わる内野手と、森下の代役となる外野手を昇格させるプランを語ったのだが、その森下に代わる外野手として、「ノイジーはない」と先に伝えたのである。しかし、6日の楽天戦で、ノイジーは3番DHで先発出場。遊ゴロと四球で交代となった。
「レフトは右利き」の持論を曲げて
「ノイジーは右腕を故障し、調整が遅れています。昨年オフ、残留条件の一つとして、岡田監督はバットを寝かすノイジーの打撃フォームを改造するように伝えました。本人も承諾したんですが、キャンプ初日、監督の許可をもらって従来のフォームで打撃ゲージに入りました。その後、前腕部などの痛みが明らかになったんです」(前出・在阪記者)
ノイジーの調整遅延はペナントレース序盤戦の阪神に大きな影響を与えそうだ。昨季ノイジーは打率2割4分、本塁打9と振るわなかったが、66試合に「3番」で出場している。ノイジーを欠いた今回の札幌遠征の初戦、阪神の打順は1番・近本光司(29)、2番・中野、3番・前川右京(20)と、左打者が3人続いてしまった。右バッターのノイジーは左打者の多い阪神にとって、重要なキーパーソンなのである。岡田監督が「ノイジーはない」と明言したのに6日の楽天戦で先発したのは、左打者ばかりでオーダーを組むのを避けるための緊急措置だったのではないか。
このまま開幕に間に合わなかった場合、前川、ミエセス(28)、小野寺暖(25)、井上広大(22)、野口恭佑(23)からスタメン左翼手を選ぶことになるが、岡田監督の“期待の大きさ”が伝わってくるのが前川だ。ミエセス、小野寺、井上、野口は右打ちだが、前川は左投げ左打ち。またも左打者が増えることになるが、それ以上に岡田監督は「持論」を曲げてまで前川にレフトを守らせている。
「レフトは右利き、ライトは左利き、というのが岡田監督の考えです。右中間に打球が飛んだとき、左利きなら、グローブをはめている右手を伸ばして捕球することができます。しかし、左利きのレフトが左中間の打球を捕るときはフェンスのほうに体を向けて捕球することになり、返球するときは体を反転させてから投げるリスクが生じます」(球団関係者)
「0.1秒」を争う本塁タッチプレーで、体を反転させる1秒がもったいないと思っているのだろう。無駄な失点を嫌う岡田監督らしい発想だが、ノイジーが離脱したキャンプ序盤からシートノックで前川をレフトに入れてきた。
「2月17日の楽天との練習試合でも前川をレフトで起用しました。走者を置いた場面で初球を打ち上げてしまい、厳しく叱咤していました。打者は3ボール2ストライクまで、カウントは有効に使うのが監督の方針です。それを初球から狙っていったので『野球観を勉強せなあかん』とまで言ったんですが、オープン戦にはすべて出場しており、粘って四球を選べるようになっています」(前出・在阪記者)
前川は6日の楽天戦もレフトでスタメン出場。右安打を放ったが、しっかり四球も選んだ。岡田監督は試合後のコメントで、「レフトやらせてるけど、(今は)ノイジーも守られへんしなあ。ライト守ってもええし。レフトに決まったわけじゃないから」と語っている。前川をライトで起用となれば監督の持論通りだが……。
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