愛猫と被災、避難所でどう過ごしたら… 需要急増「専用ケージ」開発に込めた想い

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「令和6年能登半島地震」をきっかけに、ペットの大切さや取り扱いが話題に上ったが、その中で各方面から引き合いがあり、売り切れた商品がある。販売元の社長は「さらにより良い商品を開発したい」としている。

 1月末に売り切れ、現在、再販のめどが立っていないという商品は、合同会社「猫のとびら」(山下初子代表)が販売する「いっしょに避にゃん!!」。発売から4年以上が経っていたが、今年になって販売が急増し、在庫が尽きた。値段は19800円(送料・税込み)。

「今回の能登半島地震が、忘れていた備えを思い起こす出来事になったのではないでしょうか」

 山下代表はこう指摘する。とはいっても売れたのは当該の能登地方ではなく、「主に都市部の方々が購入されました。もともと地方部よりも都市部の方の購入が多く、意識の違いがあるのかもしれません」。

いっしょに避難しにくい現状

 商品開発のきっかけは、2011年の東日本大震災だった。未曾有の災害で人の救済もままならない中、置き去りにされていたペットの姿に「飼い犬や飼い猫は、飼い主にとっては家族同然ですが、当時は同行避難すら許されない避難所もありました」(山下代表)。同行避難が可能だった場合でも、「ケージがなく受け入れてもらえなかったり、避難に適したケージもほとんどなかった」というのが実情だった。愛猫家の山下代表と実妹の元山信子副代表が「避難に適したケージがないのなら、猫たちを守るケージを作ろう、と思い立った」のが端緒となったという。

 商品の開発にあたっては従来のケージより軽く、工具を使わずに誰でも簡単に組み立てられること、さらに水に強く、手入れが簡単なプラスチックダンボール製で清潔に保てることなどを条件とした。念頭にあったのは「猫は犬と違い、リードなどで避難できないので、避難時のストレスを少しでも減らすための作りにこだわること」だったという。

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