21歳「久常涼」ら3選手がマスターズに特別招待 物議を醸しても“フェアな評価”で選ばれたと言える理由
久常涼が「特別招待」された理由
今年のマスターズに特別招待された選手を改めて紹介すると、日本の久常涼、チリ出身のホアキン・ニーマン、デンマーク出身のトービヨン・オルセン の3名だ。
オーガスタ・ナショナルのフレッド・リドレー会長は「マスターズには優れた国際的プレーヤーでありながらマスターズ出場資格を満たすことができていない選手を特別に招待する伝統がある。この特別招待の発表は、ゴルフに 対する世界中の興味関心を拡大していくというマスターズのコミットメントの表明である」と誇らしげに語った。
現在21歳の久常は、2020年に日本ツアーでデビューし、昨年は欧州のDPワールドツアーに参戦。フレンチオープンで初優勝を挙げ、同ツアーのポイントランキングでトップ10に食い込み、今季のPGAツアー出場資格を獲得。日本人で初めてDPワールドツアーのルーキー・オブ・ザ・イヤーも受賞した。
会見や囲み取材では日本ツアー時代から学習してきた英語で積極的に話すなど、アクティブで順応性の高い姿勢がオーガスタ・ナショナルから評価されたのだと推測される。米欧メディアからも「ヒサツネはグレート」と賞賛されている。
疑問視される選手も
一方、ニーマンとオルセンの特別招待に関しては少々物議を醸し、あれやこれやと取り沙汰されている。
25歳のニーマンは2018年にプロに転向し、PGAツアーにデビューするとわずか8試合目で初優勝。2022年ジェネシス招待を制して2勝目を挙げ、世界のトッププレーヤーの仲間入りを果たした。
だが、2022年シーズンの終了後にリブゴルフへ移籍。リブゴルフでは世界ランキングのポイントを稼ぐことができないため、ニーマンは81位(発表時点)まで下降、自力で出場資格を満たすことはきわめて難しい状況にあった。
しかし、マスターズ出場を切望していたニーマンは、昨年12月にはオーストラリアン・オープンに挑んで勝利を挙げ、今季はDPワールドツアーにも挑んでトップ5に3度も食い込んだ。そうした積極性と努力が評価されたのだが、リブゴルフ選手が特別招待されたことを批判的に見る向きは、とりわけ米国のアンチ・リブゴルフ派に多く見られる。
そして、34歳のオルセンについては、2019年にブリッティシュ・エアウェイズの機内で逮捕されたことがあった。
ロンドン警察によると、オルセンは機内で泥酔し、「女性乗客に対する性的暴行(痴漢行為)」「乗務員の指示に従わなかった」「通路や座席に放尿した」という容疑で逮捕された。オルセン自身は「酒と薬を同時に飲んで混濁していた」と主張。最終的には不起訴となり、戦線復帰も叶い、その後は彼なりに必死の努力を重ね、今年1月にDPワールドツアーで通算8勝目を挙げた。
そんな過去の出来事や経緯はいまなお付いて回り、彼が特別招待されたことに首を傾げる人々もいる。
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