サントリー「佐治敬三」の庶子を騙る男の「限定フェラーリ販売」詐欺 華麗なる系譜を吹聴

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お妾さん

 大概、詐欺師という人種は、狙ったカモを騙すためなら自らの血筋を誤魔化すのも朝飯前。「サントリー」創業家一族の華麗な系譜に連なることを装ったのは、S(56)という人物である。

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 サントリーは、初代の鳥井信治郎社長が1899年2月に大阪市で起ち上げた、ワインの製造販売を手掛ける「鳥井商店」が始まり。「壽屋」への組織変更などを経て、1963年3月、サントリーに商号を改めている。名経営者と謳われた2代目の佐治敬三社長は初代の次男に生まれるも、母方の親戚と養子縁組して佐治姓に。目下、サントリーを率いるのは、その長男で4代目社長を務めた現会長の佐治信忠氏(78)だ。

 S氏による詐欺被害に遭ったという不動産業者の話。

「夏になると、知り合いが三浦半島に持つ別荘に顔馴染みを集めていて、そこで10年ほど前にSを紹介されました。それ以降、交友関係を結ぶようになったのですが、なにかとサントリーの創業家一族であることを触れ回った。なんでも、母親がすでに他界した佐治敬三さんのお妾さんだったとかで、のちに自分と妹が佐治姓を名乗るようになったらしいです」

 つまり、佐治会長とは腹違いの兄弟というわけか。

サントリーから配当

「さらに、母親は敬三さんから、東京・上野毛に親子3人で暮らすための邸宅をあてがわれたと。なにより、敬三さんに“寿不動産”の株式の一部を贈与され、毎年、悠々自適な生活が送れるだけの配当をサントリーから寿不動産経由で受け取っているとのことでした」

 寿不動産とは、2009年2月にHD制へと移行したサントリーHDの9割近い株式を保有する資産管理会社。株主構成は「サントリー芸術財団」など3法人のほか、佐治会長ら創業家一族をはじめとする個人20人。うち1法人と個人12人の名は公表されていない。

「Sから、15年の暑い時期に“ラ・フェラーリ”の購入話を持ちかけられました。ラ・フェラーリはフェラーリ初のハイブリッドカーで、限定499台しか製造されなかった。正規に複数台のフェラーリを取得した実績がないと購入資格が得られず、非常に希少価値の高いものとなっていました」

 そのため、S氏曰く、著名なフェラーリコレクターがラ・フェラーリを一旦購入し、それを転売してもらう手筈を整えたとのことだった。ラ・フェラーリの定価は1億5000万円ほどだったが、S氏の言い値は1億円上乗せの2億5000万円だったという。

「週刊新潮」2024年3月7日号「MONEY」欄の有料版では、不動産業者が騙された顛末とその後を詳報する。なお、S氏に取材を試みると、「弁護士が代理で対応しますので」と言うのみだった。

週刊新潮 2024年3月7日号掲載

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