大谷翔平の妻「顔出し」が避けられなくなる場面はあるか 元メジャーリーガー・田口壮の妻が語った「奥さん会」
その実力、人望、人徳のおかげか、大谷翔平選手の配偶者について、SNSでは特定作業が進んでいるが、マスコミの多くは本人の意向を尊重した格好となっている。
しかしながら、個人主義といわれるアメリカでも、メジャーリーガーともなると、その妻にもそれなりの「社交」が求められるのが慣例だという。カージナルスなどで活躍した田口壮氏(現・オリックス・バファローズ外野守備・走塁コーチ)の妻、恵美子さんが、新生活を始めた二人へのエールと共に、「メジャーリーガーの妻」としての実体験を語ってくれた。
【写真】知られざる「メジャーリーガーの妻」の世界を語ってくれた田口恵美子さん ほか
「嫁友」の交流
私の夫である田口壮は、米国でマイナーとメジャー合わせて六つのチームに在籍していましたが、米国の球団では選手夫人たちの集まり、いわゆる「奥さん会」がありました。
正式名称は意識したことがありませんが、セントルイス・カージナルスでは、奥さんたちが着るおそろいのジャケットやジャージがあり、「カージナルズ・ワイブス」というエンブレムが張ってあったので、それが集まりの総称だったのかもしれません。どのチームの会もオープンな雰囲気で、皆さん温かくて居心地が良かった。嫌がらせや意地悪を受けたことなど一度もありません。
米国は選手のみならず家族が一丸となってシーズンを戦うという文化があり、会のメンバー同士でも交流が活発です。出産を控えた奥さんにベビーシャワーのお祝いをすることもあり、“嫁友”との関係を深めながらチーム全体を盛り上げようという雰囲気がありました。
活動はチャリティーや地域貢献を目的とするものが多く、少なくとも月1回行います。米国、特にスポーツ界では地域に恩返ししようとする意識が強く、病気になった人々の治療費のためにサインボールを販売したり、啓発活動にも積極的でした。
私の経験では、人と交わることがどうしても苦手で、顔を出したくないという方が過去に1人だけいましたが、そうした例外を除けば、全選手の奥さんが参加していました。
メジャー選手の奥さんともなれば想像を絶するお金の使い方をする人もいて、驚いたのは、ある方から「プライベートジェットで遠征に行きましょう」と誘われたことがあります。予定に合わせ小型機をチャーターする形でしたが、煩(わずら)わしいチェックインなどありませんし、ペットも同乗できる。ラブラドールレトリバー2頭を連れてきた奥さんもいましたね。1回飛ばすのに数百万円かかり、私には到底払える額ではありませんでしたが、会では“お金のある人が払えばいい”という空気感があるんです。
皆で食事をしても割り勘ではなく誰かが払うのですが、会のメンバー分のみならず、レストランにいるお客さん全員の分を払う方もいた。球団のある地元の人に少しでも感謝を示したい。そういう気持ちの表れだったと思います。
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