棋王戦藤井八冠が防衛に王手 敗れた伊藤七段が言及しなかった勝負の分かれ目

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名人戦の挑戦者は豊島九段

 藤井はタイトル八冠のうち名人、棋聖、王将、棋王の四冠を渡辺明九段(39)から奪った。棋王位は最後に渡辺から奪ったタイトルだ。しかし、昨年の棋王戦で、藤井は2勝した後、今回と同じ新潟市の対局場で第3局を戦い、1分将棋に追い込まれた末、渡辺に敗れた。あまり「ゲンの良い場所」ではなかったはずだが、今期は間違いやすい1分将棋を避けてしっかりと時間も残して伊藤に快勝した。

 伊藤は対藤井の公式戦でまだ白星がなく、これで9敗1分けである。第4局は3月17日に栃木県日光市の「日光きぬ川スパホテル三日月」で行われる。小学生の時に全国大会で対局した藤井に勝ち、藤井を大泣きさせたことで知られる伊藤の初勝利に期待したい。

 一方、4月10日から始まる名人戦七番勝負(主催・毎日新聞社、朝日新聞社)の挑戦者は、2月27日に行なわれた名人戦順位戦リーグ戦最終日のA級リーグ戦の結果、元三冠で叡王、竜王を藤井に奪われた豊島将之九段(33)に決まった。

粟野仁雄(あわの・まさお)
ジャーナリスト。1956年、兵庫県生まれ。大阪大学文学部を卒業。2001年まで共同通信記者。著書に「サハリンに残されて」(三一書房)、「警察の犯罪――鹿児島県警・志布志事件」(ワック)、「検察に、殺される」(ベスト新書)、「ルポ 原発難民」(潮出版社)、「アスベスト禍」(集英社新書)など。

デイリー新潮編集部

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