朗読も“音楽”だった…コンサートのような「村上春樹×川上未映子朗読会」

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これはコンサートだ!

 朗読会の最後では、4人によるクロス・トークとなった。そこでは、村上氏が、先日亡くなった世界的な指揮者・小澤征爾との思い出話をユーモアたっぷりに語った。

「実はこの日、村治さんがソロで演奏した曲のなかに、ビートルズの《イエスタデイ》《ミッシェル》がありましたが、これが、小澤征爾さんの盟友・武満徹さんの編曲だったのです。奇しくも小澤征爾さんの息子である征悦さんもいたわけで、どこか不思議なつながりを感じたひとときでした」(前出・編集者)

 クロス・トークの最後では、リーディング・ギフトとして、川上氏が村上氏の『ノルウェイの森』(講談社文庫刊)から、直子の手紙のシーンを朗読。客席には目頭をおさえる姿も見られた。富樫氏も感慨無量の様子だった。

「鳴りやまぬ拍手のなか、この朗読会は“コンサート”だったのだと気がつきました。村治さんの演奏はいうまでもなく、朗読も耳に心地よく、まるで音楽のようでした。しかも“古典”と“世界初演”が両方あって、最後にはちゃんと“アンコール”もあった。こういう朗読会は、なかなか実現できるものではないと思います。今回は2回目のようですが、次回はどんな“コンサート”になるのか、いまから楽しみです」(富樫氏)

 今回は、村上春樹ライブラリー募金イベントとして開催された。そのため、一般は、返礼品付きの寄付を申し込んでの参加となった。だが、高校生・大学生・専門学校生については、先着250名が無料で参加できた。未発表新作に、作家本人の“声”で接した彼らにとって、おそらく一生忘れられない時間となったのではないだろうか。

デイリー新潮編集部

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