大手メーカー令息の不倫騒動、旧ジャニーズのマネージャーに閉口… 「電通マンの日記」が暴露した有名人の素顔

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〈本書の内容はすべて私が実際に体験した事実である〉

 先ごろ上梓された『電通マンぼろぼろ日記』(三五館シンシャ)は、そんなまえがきから始まる。著者の福永耕太郎氏(ペンネーム)は営業の第一線で働いていた元エリート電通マンだ。1960年代生まれの福永氏は、有名国立大学を卒業してコネなしで入社。そう前置きしたのは、120~130人いた同期の約3分の2が有力者の子弟か、何らかのコネで入ってきたからだ。

 で、さっそく自民党の大物元政治家の長男「鶴井君」(後輩)が登場する。父親似のぶ厚いレンズの眼鏡をかけた青年で、大学卒業直前の3月に父親から社長への恫喝電話で入社が決まったVIPだ。ところが客先で仰天の行動を取り、最後は途中退職してしまう。次に登場するのは大手電機メーカー・N社のドンの息子「本関君」。妻子がいるのにテレビ局の元女性アナウンサーと不倫。まだ離婚が成立していないのに結婚式を挙げようとして話題になった御仁といえばピンとくる方もいるだろう。

「日本のメディアを支配」は本当?

 また、自民党の中西啓介元防衛庁長官の息子とも同期だった。本書のどこに出てくるかは彼が電通を大麻所持でクビになった事件をたどれば、これまたすぐに分かる。

 そして旧ジャニーズ。福永氏はある時、スポンサーから求められて、国民的アイドルグループのリーダー「N君」のCM起用を決める。が、その後、チーフマネージャー「I」の振る舞いに閉口することになる。

 同僚から取引先まで有名人(あるいはその家族)がぞろぞろ出てくる一方で、電通マンとして忙しく飛び回った福永氏は退社後、大きな代償を払うことに。有名人やその子弟が集まるのは、同社もそのコネを最大限に利用していたからだろう。そうやって、かつて喧伝されたように日本のメディアをも支配していたというのは本当なのか、当の福永氏に聞くと、

「半分は本当だと思います。特に地方紙や地方テレビ局は、電通が持ってくる広告に頼り切っていました。だから不祥事など電通に都合の悪いニュースが止まったこともある。しかし、インターネット優勢の今、過去のパワーはありません」

 一方、当の電通に聞いてみると、

「著者名の人物が当社に在籍していたことはございません。当該書籍は当社の発信物ではありませんので、回答は致しかねます」(広報担当者)

 就職サイトには一行も出てこない仕事体験記である。

週刊新潮 2024年2月29日号掲載

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