「岸田首相についていく自民党の議員はもういない」政倫審を巡って吹き上がる不信感

国内 政治

  • ブックマーク

派閥解消に近いインパクト

「建前ではそうです。が、今後に想定される検察審査会との兼ね合いから細かなことは基本的には話せない・話さないというスタンスを取らざるを得ない。そんな中で、フルオープンで出ていくことにほとんどメリットがないことも事実です。結果として“出てきたのに何も話していないじゃないか”と厳しい批判にさらされるのは自明で、自爆行為に近いと評する人もいましたね」(同)

 政倫審への現職首相の出席は史上初で、与野党双方にとってサプライズだったという意味では、岸田首相自らが打ち出した派閥解消に近いインパクトがあったと言われているのだが……。

「実際にそうだったかもしれませんが、その後の世論調査結果を見ても、国民の多くが支持しているとは判断できません。首相としては他の選択肢がなかったのでしょうが、自民党内の信頼を失ったという意味では悪手だったと言えるのかもしれません。党内では“首相についていく人はもういないのでは”との声も出ています」(同)

 国民の信頼のみならず党内からも総スカンとなれば、政権運営は危ういという他ない。

出来の悪い芝居を延々と

 今後は追加で衆院での政倫審を開催し、参院に舞台を移して開かれる見込みだ。

「結局、野党側も具体的な証拠をつかんでいるわけではないので質問が表面的で攻めあぐねている印象ですね。まぁそれも開催前からよくわかっていたことなのです。当人らの主張や意識はさておき、我々はもちろん国民も出来の悪い芝居を延々と見せられていると感じているのではないでしょうか(笑)」(同)

 実のところ、政倫審であろうが証人喚問であろうが、そこで野党が言うところの「真相究明」が実現した例などほとんどない。国会は捜査機関ではないのだから当然なのだが、その結果として与党側は「不誠実だ」という批判を招く、というのが定番の流れである。

 政治不信を払拭するための場が、かえって政治不信を増幅させることにつながりかねず、岸田首相はさらに追い込まれるのは間違いなさそうだ。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。