妻が突然「別居したい」新住所すら教えてもらえず… 夫が彼女の会社に乗り込んで判明した、“ただの不倫”ではなかった衝撃の事実
住所は教えてくれない
その後、美智香さんは会社の近くに部屋を借りたと連絡してきたが、住所は明かそうとしなかった。20数年にわたる関係を、こんなに簡単に打ち切ることができるのか。それが卓浩さんにはショックだった。
「かといって息子に相談できる話でもない。半ばヤケになりました。ひとりで飲みに行き、生まれて初めて風俗に行きました。なんだか人肌が恋しくてたまらなかった。その数日後、意を決して代休をとり、妻の会社に乗り込みました。そしてそこでびっくりするような事実を知ったんです」
卓浩さんが妻の勤務先を訪ねると、「萩原さんは外出していて、戻りはわかりません」と言われた。何か様子がおかしいと思った卓浩さんだが、それ以上聞こうとしても、答えてくれた人は「知らない」と言い張った。
いきなり知らされた真相
がっくりしながら会社を出たところで、「美智香さんの身内の方ですか」と女性の声がした。振り向くと30歳前後とおぼしき女性が立っていた。
「そのまま会社近くの喫茶店でことの顛末を聞かされました。『美智香さんは今、私の父の看病をしてくださっています』と彼女は言うんです。この10数年、彼女の父である社長と、美智香は関係をもっていた。それは彼女の母親、つまり社長の妻にも知られるところとなったが、3人で話し合いをしているとき、母が急死した。そして今、父が病気になり、美智香さんが看病を買って出てくれていると。そんなことあり得ます? あなたはどう思っているんですかと僕は思わず、社長の娘を問い詰めてしまいました」
社長の娘である澄美子さんは、「母には気の毒ですが、私は母を恨んでいました。いわゆる毒母でしたから。そんな私を支えてくれたのは美智香さんだった」と複雑な環境を話し始めた。母にわけもなく殴られたりごはんを与えてもらえなかったりしたとき、ひとりっ子の澄美子さんは父の会社にこっそり出向いていった。そんな澄美子さんを見つけて、美智香さんは食事に連れていってくれた。父の出張中に家から閉め出されたとき、連絡をするとホテルへ連れていって泊まらせてくれたこともある。10代半ばになって父と美智香さんが男女の関係だとわかったが、美智香さんに悪い感情を抱くことはできなかった。
「美智香さんがもうお父さんとは別れると言ったこともあるんです。だけど、私が別れないであげてと言いました。父もおそらく美智香さんと別れたら、自分を保てなくなるとわかっていたはず。離婚という選択肢もあったかもしれませんが、母は離婚などしない、この家が潰れるまで恨んでやると言っていましたし。母が急逝したのは、自分の恨みに自ら潰されたのではないかと私は思っています」
そう言って、澄美子さんは頭を下げた。いちばん被害をこうむったのは萩原さんだと思います、と。私は美智香さんの好意にすがってしまったと。
「美智香は仕事をしながら社長の看病をしていました。会社と病院は近かった。だから美智香は会社近くに住みたかったんでしょう。そのことは澄美子さんしか知らない。社員の中には何かありそうだと思っている人もいるが、誰も追求はしてこない。社長は生き延びられるかどうか五分五分というところだと、当時、澄美子さんは言っていました」
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