ファクシミリは命令形の言葉だった…話題の新書「世界はラテン語でできている」が売れる理由

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著者が語るラテン語の魅力

「わたしがラテン語に興味をもつようになったきっかけは、主に3つあります」と語る〈ラテン語さん〉は31歳。いかにも学究肌といった感じの知的青年である。

「まず一つ目。わたしは、東京ディズニーリゾートが大好きなのですが、ホテルミラコスタのロビーに、大きなイタリアの地図がかかっているのです。その隅に、見慣れない言語で、かなり長い解説文が書かれています。これがラテン語で、ぜひ、読み解きたいと思いました」

 次は、高校生のときの体験。

「英語の先生が、教室の黒板に書いていた“標語”です。《SEMPER PARATUS》。意味は『常に準備ができている』で、実はこれは、英語圏で有名なラテン語だったのです。アメリカ沿岸警備隊のモットーとしても知られています」

 そういえば……スーザの有名な行進曲《忠誠》の原題が《SEMPER FIDELIS》で、意味は「常に忠実であれ」。こちらはアメリカ海兵隊のモットー。そうか、これもラテン語だったのですね。

「そして、わたし自身、英語の語源を調べるのが好きだったことがあります。本書にも書きましたが、たとえば英語の《push》(押す)の語源は、ラテン語の《pulso》で、意味は『たたく』。最近よく使われる《ubiquitous》(ユビキタス)の語源はラテン語の《ubique》(どこでも)。そのほか、午前/午後の《AM/PM》や、《etc.》も、もとはラテン語です。このように、わたしたちの身近には、意外とラテン語があふれているのです」

 そんな“ラティニスト”の〈ラテン語さん〉は、東京外国語大学の外国語学部で英語を専攻した。

「東京外国語大学には27の専攻言語があるのですが、残念ながらラテン語学科はありません。そこで、もともと英文学が好きだったので、英語専攻に進みました。」

 だが、いかんせん“ラテン語愛”はやみがたく、ラテン語を追究しつづけ、2016年からTwitter(現:X)でラテン語についての投稿をはじめるようになった。

「しかしTwitterでは、140字の字数制限があり、限界を感じていました。いつか、もっと長文でラテン語の面白さを掘り下げたいと思っていました」

 その投稿が、SBクリエイティブの編集者の目にとまり、新書としてまとめられた。

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