「私たちは黒子の中の黒子…」皇族警護のスペシャリスト「警視庁警衛課」の実態、皇宮警察との違いとは

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スポットライトは刑事に

「皇警さんは自分たちのことを『しょせん黒子(黒衣)』って自嘲しますが、本当の黒子は私たちですよ。黒子の中の黒子と言ってもいい」

 警視庁の元警視はこう話す。〝皇警さん〟とは、警察庁の附属機関で皇室の警衛・警備を専門とする「皇宮警察」の略称だ。皇警の警官は皇宮護衛官と称される。皇室関連の報道などでは、警備体制のニュースでチラホラと存在感を見せる皇警に対して、ほとんど話題に取り上げられることのない警視庁の皇室守護専門セクションが「警衛課」である。その知られざる実像を紐解いてみる。

 年頭視閲(観閲)式は、全国の警察で恒例となっている年明けイベントだ。しかしいずれも地元警察のローカルニュースにとどまり、全国ニュースで取り扱われることがあるのは、皇宮警察のみと言っていいだろう。

 江戸城天守閣跡の前というシチュエーションと、天皇陛下の専用車両「御料車」に調和する黒基調のシックなサイドカーに、金色の装飾を施したヘルメットなどの儀仗服が「画(絵)になるから」(民放テレビ社員)だ。

 一方、首都・東京の治安を預かる警視庁で、皇室警備を専門的に担っているのが警備部警衛課。だが警衛課の名称が皇警のように報道で取り上げられることは皆無である。だから「黒子の中の黒子」との自負心のにじむ発言になるわけだ。

 もともと警察モノの民放テレビドラマは、昭和の「太陽にほえろ!」シリーズ(石原裕次郎主演)に始まり、令和の「警視庁・捜査一課長」シリーズ(内藤剛志主演)と、スポットライトを浴びるのは刑事と相場が決まっている。刑事以外はたいていが黒子である。

「皇警が皇室にとって宮内庁と双璧の〝縁の下の力持ち〟と言うなら、私たちは皇警を下支えする役回りですからね」(同元警視)

 そもそも警衛とは、国家公安委員会規則の「警衛要則」第二条で「天皇及び皇族の御身辺の安全を確保するとともに、歓送迎者の雑踏等による事故を防止すること」と定義されている。警察では護衛対象を、大臣ら日本政府要人や国賓ら外国政府要人と、皇室とを明確に区別。前者の身辺警備を一般的な「警護」と呼ぶのに対し、後者を特に「警衛」と称している。

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