「君はわが社のエースで四番」「一流の打者も7割は失敗する」…“野球用語”はなぜ職場で通じなくなったのか
本土決戦で我が社の底力を
恐らく我々よりも二回り~三回り上の現在の74~86歳ぐらいの人々が現役バリバリだった頃は「戦国時代用語」や「太平洋戦争用語」「古代戦争用語」がビジネスの世界で使われていたのではなかろうか。だからこそ、1980年代に雑誌・プレジデントはやたらと企業の戦略をこれらに当てはめていた。作家・椎名誠氏が立ち上げた百貨店業界誌「ストアーズレポート」も大型スーパーの出店ラッシュを戦国時代の陣取り合戦になぞらえていたと自身の著書で書いている。
それこそジュリアス・シーザーの「ルビコン川を渡る」やら「もはやこれはインパール作戦のようなものです!」「真珠湾の奇襲をすべきです」「人間魚雷で勝負をかけましょう」「バシー海峡は我々の実力をもってすれば突破することができる」「本土決戦で我が社の底力を見せましょう」なんてことも現在の老人が現役だったころは言っていたのではないだろうか。
それが現在の40代中盤~60代中盤ほどの人々は「野球用語」を使い仕事を推進した。しかしそれが受け入れられていないのが今である。
下の世代からすれば
では、現在の若者も将来的に受け入れられない言葉を言うようになるか? そのヒントになるのが、我々団塊ジュニア世代が使う「パソコン・インターネット用語」である。やたらと「彼は基本的なCPUが高性能だからね」やら「彼はISDNではなくADSLのようなものだね」などと、優秀な人材をホメる時に高スペックのPCやネット用語を使う人もいた。
こうしたものも今や死語。となれば、当然今の若者も将来的には「あのオッサンが言ってることは古い。たとえ話が意味不明」などと批判されるかもしれない。「スナップチャット全盛時代にインスタが若者のためのツールだと考える老害みたいなもんだよね~♪」なんて言葉を彼らは言うかもしれない。
このように、なんらかのたとえ話・たとえ用語をビジネスで使う中高年は若者からはウザいと思われるので、あまりこの手のたとえ用語は使わない方がいいのでは。少なくとも「野球用語」はかなり苦しい。そして、今の若者も、あまり「自分達こそ新しい世代!」との自信を持ち続けない方がいい。貴殿らも下の世代からすれば古臭いと思われる日が来る。
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