名門「神戸女学院」「女子学院」にトランス女性入学検討報道 現場の声は? 「健康診断やプール、部活など議論が必要」

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表に出ていない現場の工夫

 別の女子高の教頭経験者も言う。

「そうした出願者がいても現実問題、拒否できませんから、これまでもトランス女性を受け入れてきた女子高はある。私の学校にも10年ほど前、そうした生徒が転校してきたことがあった。ただ、当時は『性同一性障害』が今のように市民権を得る前で、やはり居づらかったんでしょう。すぐまた別の女子高へ転校していきました」

 また、と続ける。

「女子高では体は女性だけど性自認は男性という生徒は結構います。そのため、制服はスカートだけでなくズボンも用意しますし、教員・来賓用の男性トイレや更衣室の使用を許可したこともあります」

 表に出ていないだけで、これまでも現場ではさまざまな“工夫”がなされていたというわけなのだ。

 OGたちはこんな感想。

「流れとしては良いのではないでしょうか。ただし専門医による診断が前提の話だと思います」(神戸女学院出身の産婦人科医・宋美玄氏)

「10代の子は性自認が揺らぎやすい。その時の環境や刺激によって男の子が自分は女性と思ったりすることもあります。そうした12歳や15歳の子たちが、自らの性についてどこまできちんとした判断ができるか」(女子学院出身のコラムニスト・辛酸なめ子氏)

“多様性”実現は、口で言うほど易しくはなさそうである。

週刊新潮 2024年2月29日号掲載

ワイド特集「世間に負けた」より

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