名門「神戸女学院」「女子学院」にトランス女性入学検討報道 現場の声は? 「健康診断やプール、部活など議論が必要」

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「性の多様性」尊重の時代である。「お茶女」など一部の女子大は、体が男で心は女=トランスジェンダー女性の入学を既に認めているが、その流れが女子中高にも広がっているとの報道が出た。現場の実感を聞いてみると……。

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 話題を呼んだのは、2月11日の産経新聞1面トップ、以下の見出しの記事だ。

〈性自認は女性 14女子校 受け入れ検討〉

 記事によれば、同紙は、首都圏と近畿圏の1都2府6県にある私立女子中高に「トランスジェンダーの生徒の受験や入学を認めるか」とのアンケートを実施。回答を得た62校中、23%に当たる14校が「検討中」と述べたという。その中には、東京の“女子御三家”のひとつといわれる女子学院や、関西屈指の名門・神戸女学院も含まれている。

 もっとも両校に聞くと、

「世の流れを踏まえ、今後、検討していかなくてはという意味で回答しただけで、実際に議論が進んでいるわけではありません」(女子学院中高・教頭)

「今後、検討が必要であることを確認しただけです」(神戸女学院・総務課)

 というから見出しはやや大げさに映るが、同紙は、〈性的少数者に対する教育現場の理解の広がりをうかがわせる〉と論じているのだ。

男子が苦手

 こうした流れは確かに今風であろう。

 だが一方で、男性器が付いたままの「トランス女性」が、トイレや更衣室などの女性用スペースをどう使用するかについて、さまざまな議論があるのは周知の通りだ。

「受け入れとなれば、学内でかなりの論議になるでしょうね」

 と言うのは、さる女子高の現役教師。

「健康診断をどうするか、プールの授業がある場合は水着をどうするか。体育会系の部活の場合、『女性』として大会に参加できるかどうかも悩みどころでしょう。他の生徒や保護者の意見も聞くことになると思います」

 さらにこう打ち明ける。

「女子高に通う生徒には、男子が苦手だから……という生徒も一定数いるんです。そういう子は、体は男性の子が女子スペースに入ってくることにはナーバスになるでしょうね」

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