「俺が出るまで待っとけよ」東名あおり運転男の暴言はまだ序の口だった…過去には刺身包丁で刺されたり、拳銃で脅された裁判官も【凶暴過ぎる被告列伝】

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「殺してやるよ」

 制裁裁判という法律用語をご存知の方は少ないだろう。暴言や暴行などで裁判所の職務執行を妨害した際に開かれる裁判で、法曹関係者の間では実施例が少ないことでも知られている。その対象となるのは、大半が被告か傍聴人という。

「2013年3月19日、京都地裁で制裁裁判が開かれました。麻薬特例法違反などに問われたイラン人被告の初公判が地裁で開かれたのですが、被告は裁判長などに向かって『ここで潰してやるよ。殺してやるよ』と脅迫したのです。そのため制裁裁判が開かれ、監置5日が決定しました。監置とは監置場に収容される罰を指します。同じ日に麻薬特例法違反罪の判決公判も開かれ、懲役10年、罰金500万円、追徴金1657万円の実刑判決が被告に言い渡されました」(同・記者)

 04年9月には水戸地裁下妻支部で制裁裁判が開かれた。万引きの事後強盗罪で懲役5年を求刑された男性被告が裁判官に「早くしろよこの野郎」と怒鳴り、証言台を蹴って倒した。この行為に対し、監置15日が決定した。

「証言台ではなく、長机をひっくり返して制裁裁判が開かれたこともあります。08年3月、土浦連続通り魔事件が発生しました。当時、24歳だった被告が茨城県土浦市で2人を殺し、7人を負傷させました。09年7月、水戸地裁で開かれた第5回公判の終了直後、被告は突然、被告人席の前にあったスチール製の長机をひっくり返したのです。ただちに制裁裁判が開かれ、監置10日が決まりました」(同・記者)

100通の脅迫状

 閉廷後、取材に応じた弁護士は「早く死刑になりたいのに裁判がすんなり進まないのと、歯が痛いのに歯医者になかなか診てもらえないというイライラがあったのではないか」と被告が机をひっくり返した理由について推測した。

 ちなみにその後の裁判では、09年12月に死刑が言い渡された。弁護士は即日控訴したが、被告は控訴を取り下げ、10年1月に判決が確定。13年2月に死刑が執行された。

 法廷内で脅迫するのではなく、被告が拘置所から裁判官など関係者に脅迫文を送りつけたという事件が発生したこともある。

 02年9月、福岡県二丈町(現・糸島市)で立てこもり事件が発生した。包丁を持った男が人質2人を取って義弟宅に籠城。「妻と子供に会わせろ」などと要求した。人質の1人だった男の義母は解放されたが、男の姪にあたる小学校3年生の女児は殺害された。

「男は殺人罪などで起訴され、被告となりました。02年12月、福岡地裁で初公判が開かれました。ところが公判が進むにつれ、被告が裁判官や検察官、親族らに『笑うな』、『貴様らはグルだ』、『覚えとれよ』などと暴言を吐く場面が目立つようになりました。そして05年5月26日に判決公判が開かれたのですが、前日の25日に読売新聞が西部版朝刊で『裁判官や捜査員、遺族や親族を逆恨みし、報復をほのめかす内容などの手紙約100通を裁判所や関係者に出していたことが明らかになった』と報じたのです」(同・記者)

「うるせえ」の捨て台詞

 読売新聞の記事によると、被告が裁判官へ送った手紙には「無期懲役になっても生きて仮出所する。意に反した判決ならば絶対に忘れない。大変なことになる」などと脅迫する文言が書かれていたという。

「26日の判決公判では無期懲役の実刑判決が言い渡されました。すると被告は裁判長に『お前、誤った判断をしとるんじゃ。犯罪者と一緒じゃ』と大声で叫んだのです。裁判長が『退廷しなさい』と命じると、『うるせえ』と捨て台詞を吐き、そのまま刑務官に両腕をつかまれて退廷させられました」(同・記者)

 裁判官に暴言を吐くだけでも大問題だが、法廷で暴れた被告もいる。2007年5月、警視庁丸の内署は自称リビア人の男を公務執行妨害の疑いで逮捕したのだが、その容疑内容は驚くべきものだった。

「約1か月前の4月、東京地裁でアメリカ人夫婦に対する刑事裁判が開かれていました。夫婦は空手を教える一方で、カルト紛いの団体を主宰。1994年に当時4歳の次男を殴って死亡させたとして、2000年に傷害致死罪で起訴されました。通訳による翻訳の正確性などを巡って公判は長期化していたのですが、07年4月の公判では被告夫婦の支援を表明していた傍聴人がトラブルを起こしたのです」(同・記者)

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