「うずらの卵」で小1男児が窒息死 「当面、給食での使用を控える」という行政方針に何故かネット世論は猛反発 専門家は「騒音による長野市の公園廃止が分岐点」

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SNSの歴史

 中日スポーツの記事もSNSなどで拡散。「事故を契機に危険だから特定の食材として使用中止というのは、やや行き過ぎだと感じる」など、報道内容に賛意を示す投稿が相次いだ。

「とは言っても、うずらの卵が今後永遠に給食から姿を消すというわけではありません。食材としての安全性を確認するには、それなりに時間が必要でしょう。行政が『当分の間は、給食での使用を控えます』と発表したのは、拙速な判断を避けるという観点では評価すべきではないでしょうか。どうしてネット上で、これほど批判が殺到しているのか理解できませんし、非常に奇異な印象を受けます」(同・記者)

 ITジャーナリストの井上トシユキ氏に分析を依頼すると、「背景にあるのは『少数派の意見を尊重しすぎているのではないか』という多数派の強い不満です」と指摘する。

「大前提として、義務教育に関する報道はSNS上で議論が起きやすいという傾向があります。給食を口にしたことのない人は少ないでしょう。多くの人にとって、給食でうずらの卵を出すか出さないかという問題は、意見を開陳しやすいテーマだったのです。さらに、ここで改めてSNSの歴史を振り返ってみましょう。誰でも気軽に投稿できることから、少数派の意見が可視化されてきたという経緯があり、これは社会に大きな影響を与えてきたのです」

「多数派の意見を尊重して」

 例えば身体障がい者や、精神疾患の患者、日本に暮らす外国人──こうした“マイノリティ”の人々がSNSに意見を投稿することで、彼らの悩みや苦しみが可視化されてきた。切実な訴えを行政がチェックし、施策に反映させることも増えた。

「そうした流れに対し、『多数派の意見も大切にしてくれ』という反対意見が相次ぐようになったのは、2022年12月が転換点だったと考えています。この時、たった一軒の住民が騒音を訴えたことで、長野市が公園を廃止したことが明らかになりました。これにネット世論は『少数派の意見に耳を傾けることは大切だが、さすがにこれは行きすぎではないのか』と強く反発しました。議論の振り子が、少数派重視から多数派重視に大きく振れたのです。その後、ネット上では『まずは多数派の意見を尊重してほしい』という訴えが、様々な場面で見られるようになりました」(同・井上氏)

 井上氏が代表例として挙げるのが「公園や校庭におけるジャングルジムの廃止」だ。Xで「ジャングルジム 廃止」を検索してみると、撤去に強く反対する投稿が次から次へと表示される。

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