Jujuこと18歳「野田樹潤」が「スーパーフォーミラー」に参戦 10歳の頃、彼女を取材したカメラマンが驚いたワケ

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Gに耐えられる謎

「ところが樹潤選手がマシンに乗ると、物凄いタイムを叩きだすのです。当時のF4チャンピオンの記録から、コンマ2秒遅れぐらいで食らいつきます。はっきり言って、滅茶苦茶に早い。特に左側のフロントタイヤを上手に使っているのが強い印象に残りました。『これはただ者じゃない』と直感しました」(同・カメラマン)

 最近ではF1やスーパーフォーミュラのハンドルはパワステが装備されているが、F4はノンパワステ車で、男性ドライバーでも重さを感じる“重ステ”だ。さらにドライバーの全身を苛酷なGが襲う。

「私は戦闘機の後部座席に登場したことがありますが、あちらの8Gとか9Gは強烈なものが全身を締め上げました。二度と経験したくないと思いましたが、車は『2シーターのF3000』という珍しいマシンに乗せてもらったこともあり、その時のGはドカンと殴られたようなショックでした。10歳で、体重が27キロしかない少女があんなGに耐え、“重ステ”のハンドルを見事に操作して好タイムを叩き出すわけです。普通では考えられないと言わざるを得ません」(同・カメラマン)

 英樹氏にカメラマンが「Gはどうなっているんですか?」と驚いて質問すると、「僕もよく分からない」と苦笑されたという。

雑草育ちの挑戦

「英樹さんは『突然変異というか、生まれ持った何かとしか言いようがない』と、娘の“才能”について語っていました。再び驚いたのは、マシンを降りた樹潤選手の姿です。あっという間に小学校5年生の女の子に戻り、お父さんとじゃれ合ったり、宿題を一生懸命に解いたりしているのです。そのギャップも強い印象に残り、“普通の小学生”としての姿も写真に撮らせてもらいました」(同・カメラマン)

 小学生の時から樹潤選手は“天賦の才”を周囲に示していたわけだ。しかし樹潤選手は年齢制限の壁や、前例がないことなどから国内では思うようなレース活動ができなかった。そのためギリギリの体制でヨーロッパに渡るなど、必ずしも順風満帆な選手生活でなかった。このことは意外に知られていないという。

「レーシングカートの優勝タイトルを6歳から次々に獲得し、小学生で注目を集めると、ヨーロッパに転戦。昨年は欧州F3選手権『ユーロフォーミュラ・オープン』(EFO)にチャレンジし、7月に開かれたフランスのポール・リカールで開催された第4ラウンドのレース1で初優勝を飾りました。EFOで女性ドライバーの優勝は史上初……というように、樹潤選手の経歴は華麗な印象を持ちます。実際、現地の強豪チームを相手に結果を残しましたが、とはいっても、実のところ彼女は“雑草育ち”なのです。樹潤選手が『スーパーフォーミュラ』で日本における正真正銘のエリートドライバーとどう戦うのか、これが最大の見物だと思っています」(同・カメラマン)

デイリー新潮編集部

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