小1男児が給食つまらせて“窒息死”…痛ましい事故も「うずらの卵」使用中止は最適解なのか? “悪者にされる食品”について考える

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流動食給食

「対策はどのようにすればいいでしょうか」

「まず、よく噛むことを先生は伝えるべきですね。あと、箸使いが上手でない子はうずらの卵のようにツルツルとしたものは滑らせて、噛む前に気道に飛ばしてしまう可能性がありますので、『先割れスプーン』の復活も検討していいと思います。とはいっても100%安全ということはないので、究極的には流動食ですね。高齢で噛むことができなくなった人に出すような食事を出せば安心・安全でしょう。誤嚥性肺炎への注意は必要でしょうが」

「〇〇先生でした。ありがとうございました」

 このようにこども家庭庁(当時は別組織)は8年前にうずらの卵の危険性は伝えていたため、遺族からすると学校と教育委員会を訴えたくなるかもしれない。そして、毎月の献立表にはこれらの食材が入っていないか綿密にチェックする保護者も出てくるだろう。そうなると、究極的には〇〇先生が言う通り、「流動食給食」の未来もあり得るし、先割れスプーン復活を求める声も出るかもしれない。

 ここで考えたいのは「なぜ、死亡事故が起きた場合に問題視される食材と問題視されない食品があるのか」ということである。窒息死に限らず、食中毒等も含め過去の例を見てみよう。

【問題視されない食品】
 餅、フグ、毒キノコ

【問題視される食品】
 こんにゃくゼリー、ユッケ、レバ刺し、鳥刺し(南九州を除く)

関連団体の政治力

 問題視されない食材でフグと毒キノコはさすがに「それ、不注意でしょ? フグの調理免許持ってないのに素人が捌くからだよ。キノコも図鑑で調べなよ……」と呆れられるだけだ。だが餅は不可解である。

 厚労省が運営するe-ヘルスネットが食品ごとの窒息危険度を掲載しているが、餅の危険度は段違いである。「1日1億回国民が食べたと仮定した場合の事故発生件数」を表す「一口あたり事故頻度」を見てみよう。なお、必ずしも死亡事故ではない。

餅:6.8~7.6
ミニカップゼリー:2.3~5.9
飴類:1.0~2.7
こんにゃく入りミニカップゼリー:0.14~0.33
パン:0.11~0.25
肉類:0.074~0.15
魚介類:0.055~0.11
果実類:0.053~0.11
米飯類:0.046~0.093

 こんにゃく入りミニカップゼリーは様々な自治体が注意喚起をして、子供や高齢者は食べないよう指導しているというのに、餅の50分の1ほどの0.14~0.33。メーカーはサイズを小さくしたりハート形に代えたり、子供と高齢者が苦しむ顔を蓋に掲載して×印をつけるなど対策を施した。だが、餅は毎年のようにお雑煮で食べられて正月に高齢者が多数死亡する。各地の名物で納豆餅やらずんだ餅などもある。

 どうも、この差が何かといえば、関連団体の政治力の強さではないかと思えてしまうのだ。JAを含めた米作農家は政治家にとっては大票田のため、米が原料の餅に規制はかけづらい。一方、こんにゃくゼリーについては流通量も米と比べて圧倒的に少なく政治団体として弱いため、規制がかけやすい。

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