異論噴出の千葉大学長選 得票率1位なのに選ばれなかった「副学長」はどんな人か
医学部支配への反乱?
OBのAさんは今回の学長選をめぐるゴタゴタについて、「山田先生は権力欲とは無縁のイメージだったので、学長候補に名前が挙がっていること自体が意外です」と首を傾げる。
先の千葉大関係者いわく、本質は「亥鼻 vs.西千葉」の権力闘争だという。
「千葉大は戦後、千葉医科大学(現医学部)と千葉師範学校(現教育学部)、千葉農業専門学校(現園芸学部)などを中心に、複数の学校が合併されて成立しました。医学部や薬学部は亥鼻キャンパス、それ以外の大半の学部は西千葉キャンパスにあります(※園芸学部は松戸キャンパス)。同じ千葉大と言っても、亥鼻と西千葉ではほとんど別の大学のような感じですね」
学生数の比率では、医学部・薬学部・看護学部を合わせた「亥鼻」(=医学部系)が2割未満、「西千葉」(=非医学部系)が8割近くを占めている。
「ところが、学生数に対して、医学部系は教員数が非常に多い。そのため、歴代の学長職はごくわずかな例外を除いて、医学部の教授が独占してきました。今回は西千葉の教授たちが長年の“医学部支配”に叛旗を翻した形です。文学部史学科という圧倒的に小さな学科の出身で、学内でも人格者として知られる山田教授は、非医学部系の教授陣が団結して担ぎやすかったのでしょう」(同関係者)
実はゴタゴタの発端となった学内意向調査には、三人目の候補者がいた。大学院医学研究院・先端応用外科学教授の松原久裕氏だ。元医学部長でもある松原教授は350票を集めて3位となっている。どういうわけか今回の学長選では医学部系の候補者が一本化されず、横手氏と松原氏で票が割れたため、非医学部系の山田教授が1位に躍り出たということのようだ。
千葉大は、教育学部教授会が質問書を提出した2月7日、HP上に「学長となるべき者の選考について」という文書を公表。それによると、「関係法令等に則り適正に手続きを進め、推薦内容及び所信等内容を確認し、学内意向聴取の結果を参考に、求められる学長像に基づき学長としての適性を審査した」結果、「学内外から信頼される高潔な人格と優れた学識を兼ね備えた者として、横手幸太郎氏を学長となるべき者として決定した」という。
ただ、上の文書の公表後も、理学研究院教授会がより具体的な説明を求める要望書を提出し、学生やOBが署名運動を行ったのは前述の通り。はたして“反乱”の行方やいかに――?