阿部慎之助監督(44)「守護神は大勢」と明言のウラで…前監督の“負の遺産”一掃、菅野でもケラーでもない「代役構想」

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最有力候補はドライチ右腕

 チーム関係者の話を総合すると、代役クローザーの最有力候補にはドラフト1位ルーキーの右腕、西舘勇陽投手(21)が挙がっているという。

 ここまでは西舘は先発ローテーション候補の1人とみられている。しかし、阿部監督はチームの緊急事態に中大の後輩でもある西舘に、以前からクローザーとしての適性を見いだしていた。

 西舘は2月25日のヤクルト戦(那覇)でオープン戦初登板を果たした。三回に3番手としてマウンドに上がり、結果は2回を無安打無失点と上々のデビューだった。最速155キロを誇る持ち前のストレートで振り遅れを誘うなどし、また、前回登板では全てクイック投法だったフォームを、同じ打者との対戦中に足を上げるように変え、打者のタイミングを外すなど、実戦向きであることをアピールした。ネット裏で偵察に訪れたスコアラーは「初登板でフォームを変えるとは……、余裕がありますよね。新人離れした冷静さでした。クイック(投法)の速さも評判通りのもので、シーズンの1点を争う場面で走者を背負ったとしても、ばたつくような感じがないですね。マウンド度胸もあるようですし、抑えの資質はあると思います」と公式戦に向けて警戒感を強めた。

与田、山崎、栗林…「新人守護神」の成功に前例

 それにしても、ルーキーで開幕からクローザーとは荷が重すぎはしないか。元NPB球団監督はしかし、過去のNPBでの成功例を引き合いに「杞憂」だと断言する。

「古くは中日で星野(仙一)さんが与田(剛)を抑えに抜てきしています。近年ではDeNAの山崎(康晃)、広島の栗林(良吏)も1年目から抑えで堂々と活躍しています」

 確かに社会人出の与田は1990年に当時の新人記録の31セーブをマークし、最優秀救援投手に輝いた。2015年は大学出の山崎が37セーブで新人記録を更新。21年には社会人出の栗林が37セーブ、防御率0.86と圧巻のリリーフを連発した。

「新人投手だと、逆に怖いもの知らずで打者に挑めるという利点があります。プロでまだ、研究されていない分、対打者では優位に立つこともできます。大勢の復帰までの短期間なら、西舘はなおさら知られていないことが他の投手にない強みになるでしょう。阿部監督はキャッチャー出身なので、そうしたこともよく理解していると思います。大学の後輩で、他選手に比べると、扱いやすいということも抑え・西舘の構想に至った一因だとみています」(同元監督)

 勝算は十分にありということか。それにしても新人監督らしからぬ大胆な一手ではある。

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