8年長生きできる? 「タウリン」が持つ驚異の力とは…「投与したマウスの寿命が10%以上延びた」

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海産物を週に3~4回

 タウリンは魚に多く含まれていますが、それ以上に豊富なのは貝類やタコ、イカです。貝類は魚のようにエラによって余分な塩分を排出することができないため、浸透圧調節のために魚より多くのタウリンが必要になるのではないかと考えられています。また、タコやイカは魚と違ってうろこがないため浸透圧の影響を受けやすく、タウリンが多く必要なのではないかという説、タコやイカは脚を激しく動かして運動するため、筋収縮に必要なタウリンがより多く蓄積されているのではないかという説などが唱えられています。

 いずれにせよ、魚や貝、タコ、イカといった海産物を週に3~4回、主菜として食べるような食習慣があれば、“タウリン不足”ということはまずないと思います。

 注意しなければいけないのは、タウリンは水によく溶ける性質を持つという点です。そのため、グツグツ煮たりすると大半が煮汁に溶け出してしまいます。スープや鍋のようにして煮汁も飲めればいいのですが、魚の煮付けのように煮汁を飲むと塩分を過剰に摂取することになるケースもあるので注意しましょう。焼き魚などはタウリンが溶け出すこともないので、効率よくタウリンを吸収したい人にはお勧めです。

 何より大切なのはバランスの良い食事です。魚ばかり食べるのではなく、肉も食べ、魚も食べる。そうしてタウリンを摂取することができれば、さらなる健康長寿が期待できるかもしれません。

村上 茂(むらかみしげる)
福井県立大学看護福祉学部特命教授。薬学博士。1956年生まれ。京都大学大学院農学研究科修士課程修了。民間の製薬会社を経て、2014年、福井県立大学生物資源学部教授に就任。国際タウリン研究会日本部会理事長。23年より現職。

週刊新潮 2024年2月22日号掲載

特別読物「8年長生きできる!? 科学界のミステリー『タウリン』は健康長寿の源」より

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