8年長生きできる? 「タウリン」が持つ驚異の力とは…「投与したマウスの寿命が10%以上延びた」
合成能力は加齢によって低下
小さくて単純な構造のタウリンがどうしてここまで多くの効能を持つのかについては、専門家の間でも「ミステリー」「驚異的」との声が上がるほど。まだまだ分かっていない効能もたくさん隠されていると思われます。
〈神秘的とさえいえる数々の効能。合成タウリンが医薬品扱いになっている日本で、タウリンを補給するためにはどうすればいいのだろうか。〉
冒頭で紹介した「タウリンでマウスの寿命が10%延びた」という「サイエンス」の論文では、ヒトの加齢と血中のタウリン濃度の関係を調べたところ、60歳では5歳時点の約3分の1までタウリン濃度が低下していることが分かったと紹介されていました。つまり、タウリンの合成能力は加齢によって低下する可能性が示唆されたのです。
ところが、かつてある県の健康診断データを利用して年齢と血中タウリン濃度の関係を調べる研究を行った結果、日本人では加齢による血中タウリン濃度の減少は見られませんでした。「サイエンス」に発表された研究は欧米人を対象に行われたものですが、日本人と欧米人で何が違うと考えられるのか。
日本人と欧米人の違い
「サイエンス」の結果同様、おそらく日本人も加齢に伴いタウリンの合成能力自体は低下する可能性があります。ただ、日本人は昔から欧米人に比べ魚など海産物をたくさん食べる食生活を送ってきた。タウリンは海産物に多く含まれますから、日本人は加齢に伴って低下したタウリンの合成能力を外部からの摂取で補ってきたのではないかと考えられます。つまり魚を多く使う「和食」文化がある日本では医薬品である「合成タウリン」を手に入れるまでもなく、食事によって十分タウリンを補うことができるのです。
実際、世界25カ国で20年近くにわたり実施された国際疫学研究では、日本をはじめとする食事からのタウリン摂取量が多い地域で心筋梗塞など循環器疾患による死亡率が低いことが証明されています。
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