横浜流星と今田美桜で勝負に出る…NHKが来年の大河と朝ドラを絶対外すわけにはいかない事情

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NHKが本気を出す理由

 中園氏、今田、やなせ夫妻の組み合わせはヒットを予感させる。NHKが本気を出したように見える背景には、来年は前身の社団法人日本放送協会がラジオの放送を開始してから100周年に当たるということもある。

 また、朝ドラと大河の地盤低下を食い止めたい思いもあるのだろう。ここ数年の朝ドラのデータを見ると、視聴者の熱狂が明らかだった「カムカムエヴリバディ」(2021年度下期)は、視聴率も全回平均で個人視聴率9.6%(世帯17.1%)と高水準だったが、以降はそれを超えられない。好評だった「らんまん」も全回平均は個人9.4%(世帯16.6%)にとどまった。現在放送中の「ブギウギ」もこれを超えられそうにない。

 大河もそう。2021年の「青天を衝け」の全回平均は個人8.4%(世帯14.1%)で2022年度の「鎌倉殿の13人」も7.6%(世帯12.7%)とハイレベルだった。話題性も高かった。

 しかし、2023年の「どうする家康」の数字は6.7%(世帯11.2%)で世帯はワースト2位。現在放送中の「光る君へ」も現時点では話題性が高いとは言い難い。

 このままでは2つの看板ドラマ枠が埋没しかねない。現在は「正直不動産2」を放送している「ドラマ10」(火曜午後10時)と「お別れホスピタル」を放送中の「土曜ドラマ」(土曜午後10時)もあるが、両ドラマ枠は前田晃伸前会長(79)によって合理化が進められ、多くの作品が外部の力を借りてつくっているのだ。

 朝ドラと大河こそ“ディス・イズ・NHKドラマ”。制作者たちとしては埋没させるわけにはいかないだろう。

江戸時代の名プロデューサー「蔦屋重三郎」

「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」の脚本は森下佳子氏(53)が書く。過去にTBS「JIN-仁-」(2009年、2011年)や朝ドラ「ごちそうさん」(2013年度下期)、TBS「天皇の料理番」(2015年)、NHK「大奥」(2023年)などを書いてきた。

「森下佳子に外れなし」と言われるほどの名ストーリーテラーである。大河の脚本家は資料調べに1年、執筆に1年、撮影に1年で、計約3年間拘束されるが、森下氏は引き受けた。

 森下氏は横浜が演じる主人公・蔦屋重三郎(1750~1797年)に興味を抱いたようだ。確かに魅力的な人物で、大河に登場するのは初めてだが、「HOKUSAI」(2021年)などの映画でたびたび描かれている。漫画誌「モーニング」(講談社)でも重三郎を主人公とする「じょなめけ」が連載された。

 重三郎は江戸郊外の吉原の貧しい庶民の子に生まれた後、幼くして両親と生き別れた。小芝風花が扮すると発表された花の井は重三郎の幼なじみである。

 重三郎は貸本屋を振り出しに書籍の編集、出版業に乗り出す。そして葛飾北斎、東洲斎写楽、喜多川歌麿、曲亭馬琴らを次々と発掘し、世に出した。希代のプロデューサーだった。

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