妻の妊娠中に不倫相手も妊娠させた“ズルい男”の告白 18年続けた「二重生活」を突然、破綻させた出来事
ふとしたことから生まれたほころび
高校の卒業旅行で友人と海外に行くことを計画した息子が自分の戸籍をとった。そして父親の欄が空欄だと知ったのだ。
「息子は賢い子ですから、僕に直接連絡をしてきました。もしかしたらと思っていたけど、母とは結婚してないんだねと言われて……。僕は彼の学費などをすべて出していたから、婚姻届は出せなかったけど、僕がきみの父親であることは確かだと告げました。でも息子は、『おとうさんに何かがあっても、僕に何かがあっても、ふたりの間の親子関係は証明されないわけだよね』と。この言葉が胸に刺さりました。実態がきちんとしていればいいと思っていたけど、そうではなかったんだと。このことが息子を傷つけると考えたら、いても立ってもいられなくなった。文佳と3人で話し、すぐに認知しました。息子には今まで申し訳なかったと謝りました」
すると1ヶ月ほどたったころ今度は、娘が戸籍をとってきたと、真希子さんから聞かされた。すでに息子を認知したことが戸籍に反映されていた。
「しまった、時期を逆にすべきだったと思いましたが、もう遅い。妻にどういうことなのと聞かれて、今まで黙っていて申し訳ないと言うしかありませんでした」
真希子さんは戸籍謄本を手にしたまま、黙り込んだ。いや、オレたち今までうまくやってきたよね、仲のいい家族だよねと尊仁さんは焦りながら妻に迫る。
「今まではねと妻は言いました。『あなたのどこか常識外れなところがおもしろいと思っていたし、常識でないところで勝負するからこそ事業もうまくいったのだろうと感じていた。でもこういう方面でも常識から外れていたとは……。私が甘かったのかな』と。いや、オレが悪い。ただ、早く言えばいいことだったのだろうか。どうしてもきみと娘を失いたくなかった。同じようにあちらの彼女と息子も失いたくなかった。それが間違っていたんだろうか。妻にとってはわけのわからないことを言っていたと思います」
妻と結婚してから数ヶ月後に知り合った人が、実は運命の人だと思ったとは、さすがの尊仁さんも言えなかった。だが息子の年齢を見れば、結婚前後にもうひとりの女性が妊娠していたことはすぐにわかる。
「どう考えたらいいかわからないと妻は言いました。そうだよねと僕も言った。あなた、頭がおかしいわと妻に冷静に言われて、うん、わかってると答えました。『しばらくひとりで考えたい。ただ、娘はショックを受けているから、あなたが何か言ってやって』と。でも娘は部屋にこもったままで僕の呼びかけには応じてくれなかった」
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