妻と不倫相手、どちらとも家庭を築く…「これが自分の誠意の示し方だった」という50歳夫の末路

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姐さん気質の妻・真希子さん

 妻の真希子さんとは入社した会社で同期だった。5年がたったころ、真希子さんが休職して留学すると聞き、慌てて告白した。いい友人関係が続いていたのだが、実際は彼女を失いたくないからその関係に甘んじていたと気づいたのだ。

「私が帰ってくるまで待てる? と彼女は言いました。わかった、待ってる。帰ってきたら結婚しようと。つきあいもせずいきなり婚約、会社中の人に触れ回りました。彼女、僕ら同期のマドンナというか、姐さんというか。気っ風がよくて動じなくて、誰もが頼りにしたくなるようなタイプなんですよね」

 留学している彼女に負けたくないとも思った。会社員生活にうんざりし始めてもいたから、彼は独立・起業している先輩たちにいろいろ話を聞いて回った。

「家庭も組織だと考えれば、僕はもともと組織には向いていないんだと思っていました。当時勤めていた会社に関連する仕事で、独立してもできそうなことがあったんです。詳細は言えませんが、会社との連携もできるのではないかと考えた。その会社は独立や起業を推奨していて社内起業もできたんですが、僕はあえて会社から出て起業することにしました。準備を始めたのが30歳のとき。煮詰まってきたころ真希子が帰国して、彼女の32歳の誕生日に起業しました」

起業早々に妊娠が発覚

 真希子さんはそのまま会社勤めを続けた。夫の起業がうまくいかなくても自分が勤めていれば食べるくらいはなんとかなると言ってくれた。起業したこともあり、婚姻届には妻の姓を名乗ると記載した。

「彼女はひとりっ子なので、両親も喜んでくれるかなと思ったんですが、この両親がまた変わった人たちで『姓なんてどうでもいい。ふたりで好きなほうを選べばいいよ』と。そんな調子ですから、結婚生活にもまったく踏み込んでこなかった。でも行けば喜んでもてなしてくれる。妻の両親と友だちみたいにつきあえたのはラッキーでした」

 子どもについては、できてもできなくてもかまわないと思っていた。真希子さんも同じように考えていたという。

「ただ、意外なことにあっという間にできたんです。結婚して半年後には妊娠がわかりました。僕自身、まだ会社を立ち上げたばかりだし、これで妻が産休育休に入ったら収入は大丈夫だろうかとちょっと戸惑いましたね。でも妻は『どうにかなるわよ』って。さすが太っ腹というか肝が据わっているというか」

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