一時、崖っぷちと言われた「福山雅治」「綾野剛」が復活のウラ事情
福山が主題歌を歌えば大ヒット
俳優・タレントの人気のバロメーターといえば、主演ドラマやCMの数など、テレビでどれだけその姿を見るかだろう。そんな中、苦境に立たされたものの、映画を舞台に見事な復調を遂げようとしている実力派が2人いる。
【写真を見る】イメージがガラリと変わった綾野剛主演作と、福山雅治の主題歌が見事にはまった大ヒット作
俳優の福原遥(25)と水上恒司(24)がダブル主演を務める映画「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」が、昨年12月8日の公開から2月11日までの約2か月間で、観客動員318万8096人、興行収入40億4838万6900円の大ヒットとなったことを配給元の松竹が発表した。
この映画は、TikTokで《初めて本を読んで泣いた》《号泣してやばい》などと話題になり、10代の読者を中心に人気を集めた汐見夏衛さんの同名小説を映画化したもの。戦時中の日本にタイムスリップした現代の女子高生(福原)と、特攻隊員の青年(水上)の切ない恋の行方を描いたラブストーリーだ。主題歌に起用されたのは、歌手の福山雅治(55)が書き下ろした「想望」である。
「十分な予算があり、大規模上映される作品の場合、すでに名前が知られている歌手を主題歌に起用するのが邦画界のトレンドになっています。当然、映画がヒットすれば主題歌が注目されますし、もちろんその逆もあります。アップテンポ、ミディアム、バラードなど、どの曲調でいくかは作品にもよりますが、『あの花は』はどう考えてもバラード曲が合います」(映画担当記者)
そうなると、バラードの名曲も多い福山が、リストアップされたのは当然ということなのだが、
「ここ数年、福山さんの曲が主題歌に起用された映画はヒットしているんです。そこで製作サイドはダメ元でオファーしたのですが、福山さんは被爆地の長崎出身で、幼い頃から平和教育を受けて来たこともあり、快諾したそうです。昨年、おおみそかの紅白歌合戦でもこの曲で出場しましたが、ストーリーで涙し、主題歌が流れてさらに涙する観客が続出しているようです」(映画業界関係者)
これまでに映画・ドラマ・CMなどのタイアップで起用された福山の楽曲は数多いが、確かに映画に目を転じると2018年に公開された人気アニメシリーズの劇場版「名探偵コナン ゼロの執行人」では主題歌「零-ZERO-」を歌い、興収は91.8億円を記録した。その後、「革命」が主題歌に起用された「新解釈・三國志」(20年)は40.3億円、そして今回、「あの花が~」も大ヒットに。
ちなみに「想望」は配信のみだがオリコンの週刊配信ランキングで最高1位を獲得、「零-ZERO-」も配信限定だったが、2018年4月7日付オリコンのデイリーランキングで1位、配信2週目でも2位となった。また「革命」はアルバム「AKIRA」に収録されているが、同アルバムは17万枚を売り上げている。映画と共に、主題歌もしっかりヒットしているようだ。
なぜ、歌ならイケるのか
「福山は15年9月に女優の吹石一恵と結婚しましたが、女性ファンから〝福山ロス〟が巻き起こるとともにファン離れが加速しました。その影響もあってか、いずれも主演作のドラマ『ラヴソング』(16年、フジテレビ)、『集団左遷!!』(19年、TBS)、映画『SCOOP!』(16年)、『マチネの終わりに』(19年)などは、残念ながら当たらなかったのですが……」(民放編成関係者)
では、役者ではなく、歌の方では根強い人気があるのは何故なのか。
「おそらく、多くの女性ファンは福山さんが演技をしているところを見ると、彼を既婚者としてとらえてしまい、独身時代のような気持ちで演技を見ることができなくなってしまったのでしょう。その一方、楽曲を聞いている限りでは、歌詞がダイレクトに心に突き刺さり、先入観がなく曲そのものを受け入れられる。歌唱力は申し分なく、おまけに作詞作曲も自分で行い、多くのタイアップをこなしていることもあって、クライアントが欲しがる絶妙な曲をスムーズに仕上げてくれるそうです」(芸能記者)
22年9月、福山の代表作である「ガリレオ」シリーズの9年ぶりの新作となった映画「沈黙のパレード」が公開され、興収30億円のヒット作となった。役のイメージが固定化するのを嫌い、同シリーズへの出演は拒んでいるとされていた福山だが、やはり人気は根強いことが分かった。これを受けて、「次回(のシリーズ)はなるべく時間を空けないでやりたい」と語っていた。もっとも、これが〝追い風〟となったのか、全盲のFBI捜査官役で主演を務めた昨年4月期のTBS系ドラマ「ラストマン-全盲の捜査官-」は、全10話の平均世帯視聴率が12.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録している。俳優としても、これで復調することになるかどうか。
[1/2ページ]