オリックス村西良太は“真のサブマリン”に変貌を遂げていた…絶滅危惧種のアンダースローに挑戦2年目 “令和の山田久志”になれるか?
「名アンダースロー」の系譜
メジャーの球場に倣い、日本のマウンドも粘土質で固くなり、それこそスパイクで掘ったところで、穴も掘れないくらいになっている。
その硬さは、アンダースローの投手にとっては不利になる。昭和の時代のように、スパイクで掘ると、踏み出し足用のスポットができる柔らかさがあれば、体全体をより沈み込ませることができる。そうすると、下から上への軌道になるアンダースローにとっては、打者の目線を狂わせるだけのアドバンテージを、より得ることができるのだ。
逆に言えば、今のマウンド環境では、アンダースローがその特性を生かしづらいとも言える。だからメジャーでも、サブマリン投法はいまや「絶滅危惧種」とまで言われるようになった。日本の他球団を見ても、現役では西武・興座海人、オリックスから今季DeNAに移籍した中川颯くらいしか見当たらない。
ただ、オリックス唯一のアンダースローとして、特性をフルに生かすことができれば、投手陣の中でも貴重な“アクセント”にもなる。山下舜平大をはじめ、160キロ近い剛球を誇るパワー系のニュースター候補にどうしても目が行きがちだが、その真逆ともいえる“アンダートス投法”で活路を見いだす「背番号22」の存在は、何とも興味深い。
オリックスの前身・阪急には、前述の山田久志、通算187勝の足立光宏ら、名アンダースローの系譜が連なっている。だからこそ、“令和の山田久志2世候補”に、ちょっと注目してみたい。