オリックス村西良太は“真のサブマリン”に変貌を遂げていた…絶滅危惧種のアンダースローに挑戦2年目 “令和の山田久志”になれるか?

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「名アンダースロー」の系譜

 メジャーの球場に倣い、日本のマウンドも粘土質で固くなり、それこそスパイクで掘ったところで、穴も掘れないくらいになっている。

 その硬さは、アンダースローの投手にとっては不利になる。昭和の時代のように、スパイクで掘ると、踏み出し足用のスポットができる柔らかさがあれば、体全体をより沈み込ませることができる。そうすると、下から上への軌道になるアンダースローにとっては、打者の目線を狂わせるだけのアドバンテージを、より得ることができるのだ。

 逆に言えば、今のマウンド環境では、アンダースローがその特性を生かしづらいとも言える。だからメジャーでも、サブマリン投法はいまや「絶滅危惧種」とまで言われるようになった。日本の他球団を見ても、現役では西武・興座海人、オリックスから今季DeNAに移籍した中川颯くらいしか見当たらない。

 ただ、オリックス唯一のアンダースローとして、特性をフルに生かすことができれば、投手陣の中でも貴重な“アクセント”にもなる。山下舜平大をはじめ、160キロ近い剛球を誇るパワー系のニュースター候補にどうしても目が行きがちだが、その真逆ともいえる“アンダートス投法”で活路を見いだす「背番号22」の存在は、何とも興味深い。

 オリックスの前身・阪急には、前述の山田久志、通算187勝の足立光宏ら、名アンダースローの系譜が連なっている。だからこそ、“令和の山田久志2世候補”に、ちょっと注目してみたい。

喜瀬雅則(きせ・まさのり)
1967年、神戸市生まれ。スポーツライター。関西学院大卒。サンケイスポーツ~産経新聞で野球担当として阪神、近鉄、オリックス、中日、ソフトバンク、アマ野球の各担当を歴任。産経夕刊連載「独立リーグの現状 その明暗を探る」で2011年度ミズノスポーツライター賞優秀賞受賞。産経新聞社退社後の2017年8月からは、業務委託契約を結ぶ西日本新聞社を中心にプロ野球界の取材を続けている。著書に「牛を飼う球団」(小学館)、「不登校からメジャーへ」(光文社新書)、「ホークス3軍はなぜ成功したのか」(光文社新書)、「稼ぐ!プロ野球」(PHPビジネス新書)、「オリックスはなぜ優勝できたのか 苦闘と変革の25年」(光文社新書)、「阪神タイガースはなんで優勝でけへんのや?」(光文社新書)

デイリー新潮編集部

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