保守王国・前橋で「女性市長誕生」の裏側 「福田系と中曽根系の抗争が持ち込まれた」
“保守にも支持してもらった”
晴れて当選した小川氏は弁護士資格を持つ。平成23年に旧民主党の公認を受けて前橋市から県議選に出馬し、初当選を果たした。
「今回は政党からの推薦を受けず、現職の多選を批判して幅広い層への浸透を図る戦術が奏功しました。選挙後は“市民の力としか言いようがない”と語りつつも、“保守にも支持してもらった”と付け加えるのを忘れなかった。自身に当選をもたらした“陰の立役者”の中曽根系への配慮ですね」
同じ頃、中曽根氏は山本氏の事務所で「保守が一つにならなければつけ込まれる」と肩を落としていた。
「しおらしい様子でしたが、支持者の多くは康隆さんの“福田系の候補なんか本気で支援できるわけがない”との本音を感じていました」(自民党県連関係者)
“高みの見物”
小川、山本両陣営の思惑が絡み合う中、福田系の山本一太知事(66)は右往左往。
「選挙前から、ブログに“前橋市長選に関するシリーズ”と称して、自身が山本さんに肩入れする理由を22回も投稿。選挙後も、公務そっちのけで敗因分析に躍起です。内容は自己正当化と、中曽根系への当てつけばかりですが」(同)
“保守王国の風穴”と化した県都・前橋市は群馬1区の一部。次期衆院選では前回と同様に尾身朝子氏(62)が比例に回り、康隆氏が公認候補になる見通しとされる。
「今後、前橋市政で中曽根系が幅を利かせるのは確実です。山本知事はかなり焦っていますよ」(同)
他方、同じ4日に行われた京都市長選挙では自民党も推薦した候補が勝利。小渕選対委員長は喜びがにじむ声を発したものの、前橋市での敗北には一切触れず。先のデスクの解説。
「事前に保守の分裂を把握していたようで“こうなることは分かっていたよ”と淡々と語った。小渕も福田も自身の選挙は安泰なので、そろって“高みの見物”を決め込んでいたんです」
岸田文雄総理がいかに率先垂範しようと、地方の“派閥”が消えることはない。
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