「ポスト山本由伸」オリックス・斎藤響介が歩む“エース昇格ロード” 若手投手陣の台頭ぶりは今季も恐ろしい

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山本由伸、宮城大弥と同じプロセス

 その右腕を、オリックスは大事に育ててきた。

 ルーキーイヤーの育成過程は、山本由伸、そして宮城大弥ら、高卒でプロ入りした先輩投手たちと同じプロセスと言ってもいい。

 昨季のルーキーイヤーの宮崎キャンプでは、本格ピッチが封印されていた。同5位の同期生・日高暖己(現広島)とともに、投球練習は先輩の投手陣のブルペン投球が終わった後。2人だけがブルペンに呼ばれた。

「先輩たちがいたら、どうしても力が入ってしまうからね」

 その“隔離練習”の狙いを説明してくれたのは、福良淳一GMだった。

 そのブルペンでも、立ち投げで20球、捕手が中腰で20球。その40球で終わると、後は体作りの強化メニュー。捕手を座らせての投球練習はキャンプを終え、3月の大阪・舞洲でのこと。ウエスタン・リーグでの公式戦デビューは5月。実戦経験を積み、シーズン終盤にテストケースで1軍へ。

 この流れはまさしく、山本、宮城も辿ってきたプロセスなのだ。

 昨季、ウエスタンで11試合に登板した後、リーグ3連覇が決まった後の9月26日の西武戦(京セラドーム大阪)で先発デビュー。4回73球、2安打無失点は、高卒1年目の初舞台としては、それこそ及第点だろう。

台頭著しい若手投手

 ちなみに、山本は1年目の8月、宮城も1年目の10月に1軍デビューを果たすと、山本は2年目にセットアッパーとして54試合、宮城は先発ローテを担って13勝。その“エース昇格ロード”を、斎藤もしっかりと歩んできたのだ。

 その山本が、ロサンゼルス・ドジャースへポスティングシステムを使って移籍。さらに左腕の山崎福也がFAで日本ハムへ移籍した。この2人で昨季は27勝11敗。この“貯金16”を、いかにカバーできるのかが、オリックスの4連覇へのカギを握ることになる。

 この斎藤に続けとばかりに、若手投手陣の台頭ぶりは今季も恐ろしいばかりの勢いだ。

 昨季、1軍デビューが開幕投手で、最終的には9勝を挙げての新人王に輝いた4年目の山下舜平大には、もはやエースの風格すら漂っている。昨季6勝、昨季の日本シリーズ第3戦でも勝利投手に輝いた東晃平は、2017年の育成2位入団から2022年7月に支配下に昇格し、以来無傷のシーズン7連勝中だ。

 昨季のドラフト1位左腕・曽谷龍平も着実に力をつけており、日本ハムからのトレードでかつての甲子園のスター・吉田輝星も加入、先発ローテーション入りを狙っている。

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