結婚報告ラッシュ、タイ大使館に長蛇の列… 突然「徴兵制」を始めたミャンマーでいま起きていること

国際

  • ブックマーク

ミャンマーの若者に残された道は

 こうした動きのなか、14日に国軍は海外で働くための申請の受け付け停止を撤回した。実習生や労働者を受け入れる国々から、国軍の都合で決められる問題ではないと釘を刺されたからともいわれている。

 ヤンゴンで日本への技能実習生を送り出す仕事に就くAさん(32)はこういう。

「申請受け付け停止の通達を受け、日本の受け入れ機関も動揺したようです。すぐに、受け入れの再検討や技能実習生の面接の一時停止の連絡がきましたから。これまでミャンマーを積極的に受け入れてきた機関も、今後はネパールやインドネシアに切り替える動きが出てくるかもしれない。実習生を安定して送れないというリスクをミャンマーに感じ取ったはず」

 ミャンマーの若者が、海外で働く道筋はますます狭まるのだろうか。

 ラカイン州やシャン州で戦闘は激化し、国軍の撤退が相次いでいる。国軍が支配するエリアは日を追うごとに狭くなりつつある。

下川裕治(しもかわ・ゆうじ)
1954(昭和29)年、長野県生れ。旅行作家。『12万円で世界を歩く』でデビュー。『ホテルバンコクにようこそ』『新・バンコク探検』『5万4千円でアジア大横断』『格安エアラインで世界一周』『愛蔵と泡盛酒場「山原船」物語』『世界最悪の鉄道旅行ユーラシア横断2万キロ』『沖縄の離島 路線バスの旅』『コロナ禍を旅する』など、アジアと旅に関する著書多数。『南の島の甲子園―八重山商工の夏』でミズノスポーツライター賞最優秀賞。近著に『僕はこんなふうに旅をしてきた』(朝日文庫)。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 3 次へ

[3/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。