結婚報告ラッシュ、タイ大使館に長蛇の列… 突然「徴兵制」を始めたミャンマーでいま起きていること
結婚報告ラッシュ
徴兵制の発表直後から、フェイスブックでは結婚報告ラッシュが起こった。結婚している女性は徴兵を免れられるからだ。
「彼が結婚しようというのを待ってます。明日には自分からいうつもり」(Eさん、女性、22歳)
「彼はいまタイで働いています。すぐオンライン結婚しようと話し合っています」(Kさん、女性、27歳)
追い打ちをかけるように、国軍は14日、日本への技能実習生など、海外で働くための申請を受け付けないと通達を出した。国外に逃れることを防ぐためだ。
ミャンマーにおいて日本への技能実習生の人気は高い。収入はほかの国に比べると少ないが、ビザがとりやすいからだ。出入国在留管理庁の統計では、2023年6月末でミャンマーの技能実習生は2万人を超え、前年に比べ23%近く増えている。技能実習生になるためには日本語能力試験を受ける必要があるが、今年1月に行われた試験では、ミャンマーでの受験者は20万人にのぼった。前年の約3倍以上の増加だ。クーデター以降、仕事を失ったミャンマー人の実態が浮かびあがる。
なんとかして海外に出て仕事に就きたい……国軍は徴兵のため、その窓口も止めようとしたのだ。
タイ大使館で整理券
残る合法的な海外脱出方法として、連日、タイ大使館には長い列ができている。目的はタイの観光ビザ。働くことはできないが、タイに1ヵ月の滞在が許される。その間だけの徴兵逃れだが、なかにはミャンマーに戻らず、先のMさんのように、タイに不法滞在を考えている若者も多いという。殺到するミャンマー人に対し、タイ大使館は1日400人の整理券を発行。これが配られるのが朝の8時半。それを手に入れるために前夜からタイ大使館前で待つことになる。路上にいると拘束される可能性があるので、車で向かい、そのなかで息をひそめる。タイへの密出国をめざす若者も多く、国境地帯にはミャンマー人が続々集まりつつあるという。
この状況下、国軍と戦う民主派政府の国民防衛軍(PDF)などは、国外逃れや徴兵を免れたい人々の相談窓口を開設した。
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